真菌と真菌症
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クロモミコーシス-星芒状組織形の認められた症例-
高瀬 孝子
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1985 年 26 巻 2 号 p. 81-86

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抄録
症例は62歳, 農婦. 昭和51年に右中指背を打撲, 同部に病変を生じた. 昭和55年, 当科を初診, 当時スポロトリコーシスの疑いでヨードカリによる治療をしたが軽快せず, 来院しなくなった. 昭和58年, 再診, 痂皮のKOH標本に sclerotic cells を認めた. 治療前の組織像では菌要素として sclerotic cells, それからの菌糸発芽などがみられ, それらの周囲には常に星芒状物の形成がみられた. 培養により黒色菌が得られ, 形態学的所見および40℃における発育状態から, これらを Exophiala dermatitidis と同定した. E. dermatitidis によるクロモミコーシスで組織内に星芒形が認められたのは本例が最初の報告と思われる.
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© 日本医真菌学会
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