抄録
血清の鉄結合能および鉄負荷が, 白血病マウスにおけるアスペルギルス症の易感染性にいかなる影響をもたらすかについて検討した.
その結果, 白血病マウスは全例アスペルギルス症により死亡し, 正常対照群と比較すると, 不飽和鉄結合能は有意に低下しており, 反対に, 血清鉄と鉄飽和率は有意な増加を示していた. さらに, 鉄を負荷した場合には, 血清鉄の著増をきたして, より早期に死亡し, アスペルギルスによる病変も多臓器にわたっていた.
以上の結果より, 白血病では, 鉄代謝の乱れが, 真菌の増殖に有利に働き, さらに, 白血病治療に不可欠な輸血が, 逆にアスペルギルスの易感染性を亢進することが示唆された.