真菌と真菌症
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真菌症の免疫化学療法-実験的アプローチ
鈴木 益子大川 喜男鈴木 光鈴木 茂生
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1985 年 26 巻 3 号 p. 140-144

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抄録
真菌症の免疫化学療法への実験的アプローチとして, 免疫賦活剤としてキチン, キトサンを, 抗真菌剤として amphotericin B (AMPH) および flucytsine (5-FC) を用い, マウス Candida albicans 感染に対する併用効果を検討した. その結果, キチン, キトサン, 抗真菌剤それぞれの単独投与群に比べ, キチン, キトサンと抗真菌剤併用群がより強い感染防御効果を示した. その作用機作を検討した. (1) キチン, キトサン投与マウス腹腔付着性細胞 (PAC) の C. albicansin vitro 殺菌能におよぽす上記抗真菌剤の効果について検討した結果, 殺菌率はキチン, キトサン投与マウスPACと抗真菌剤併用で最も高かった. (2) キチン, キトサン投与マウス腹腔浸出細胞 (PEC) の myeloperoxidase (MPO) 活性は未処理マウスPECに比べ顕著な増加を示した. 又, AMPH投与マウスPECのMPO活性も未処理群よりも高かった. 以上のことから, キチン, キトサンの抗真菌剤との併用効果は活性化食細胞による殺菌効果と抗真菌剤による直接殺菌効果とが相まって表われるものと考えられる.
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© 日本医真菌学会
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