真菌と真菌症
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二形性真菌 Candida albicans の形質膜脂質の変動
森田 達也柳沼 英哉小瀬木 幸司野沢 義則
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キーワード: 二形性, 形質膜, 脂質組成
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1985 年 26 巻 3 号 p. 216-220

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抄録
Candida albicans の酵母形 (Y形)→菌糸形 (M形) 変換に伴い, 各細胞を経時的に採取し, これらの細胞から形質膜を分離・精製し, 脂質構成を検討した結果, 形態変換の著しい変換誘導後3時間において, ホスファチジルコリン (PC) とホスファチジルエタノールアミン (PE) はそれぞれ5~10%増加し, ホスファチジルセリン (PS), ホスファチジン酸 (PA) は, およそ10%の減少を示した. また, リン脂質のアシル鎖構成に変動が生じ, PC, PE, PSにおいてはオレイン酸の減少とリノール酸の増加が認められ, 脂肪酸の不飽和度は変換誘導後3時間において最も高い値を示した. 一方, ホスファチジルイノシトール (PI) においては, 他のリン脂質に認められた現象と共にパルミチン酸の増加とそれに伴うパルミトオレイン酸の著しい低下により脂肪酸の不飽和度は最も低い値を示した. これらの結果は C. albicans の二形性変換と膜脂質の間に何らかの関係があることを示唆するものと推測される.
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© 日本医真菌学会
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