真菌と真菌症
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犬およびラツテ由来のTrichophyton mentagrophytesの不完全cleistotheciaについて
大越 伸長谷川 篤彦
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1966 年 7 巻 1 号 p. 31-35

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抄録

わが国においては, これまで, 動物のringwormに関する研究報告は極めて少ない.特に犬のringwormについては, 先に著者が発表した犬5例のMicrosporum canis感染例が報告されているのみである.
拷者は先般から東大附属家畜病院の患畜についてringwormの検索を行なって来たが, 今回東京都内の犬2例および東大薬学部の実験動物であるラッテ32例のring-wormから, 両者共に, Trichophyton mentagrophytesを検出することが出来た.
これらの動物のringworm病変部から分離した菌株はいずれもT.mentagrophytesのgranular typeのものであり, これを土壌培養したところ, 本菌の不完全なcleistotheciaが形成された.この不完全cleistotheciaには子嚢の代りに多数のmicroconidia類似の胞子が内蔵されていた.また周辺部菌糸の形態はArthroderma属のそれと類似していた.
本報告においては犬およびラッテのringwormについての臨床所見ならびに原因菌であるT.mentagrophytesについての真菌学的所見について記載した.

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