1990 年 31 巻 3 号 p. 237-242
1985年から1988年までの間に白血病患者で,真菌症を合併して死亡した10例を経験した.10例のうち5例がAspergillosis,5例がCandidiasisに罹患し,7例は全身,3例は限局して感染していた.真菌症発症の条件として,白血球3,000/μl以下の日数と38.0℃以上の発熱の出現する日数がほぼ一致し,白血球数の最低値は9例が400/μl以下であった.真菌症の診断としての培養では死亡直前に陽性となることが多く,胸部X線上異常所見が出現したのは7例であったが,出現してから死亡までの日数は10日から20日と短かった.
治療については,ミコナゾール,アムホテリシンBの経口投与は比較的長期間投与されているが,アムホテリシンBの経静脈投与は死亡直前に施行されることが多かった.
剖検では,10例すべてが肺に真菌が感染し,脾,肝,腎への浸潤例も多かったため,今後腹部超音波や腹部CTによる真菌症の診断も重要になってくるものと考えられる.