抄録
深在性真菌症は一般に診断および治療が困難なことより, しばしば重篤な結果を招来する.今回, 我々は血清学的検査法によりカンジダ血症を早期に診断し, 抗真菌剤の投与により治癒し得た症例を経験した.症例は5例すべて70歳以上の高齢者で, 基礎疾患として, 3例に脳梗塞を認め, 2例は老人性痴呆のため長期臥床の状態であった.血清学的診断の検討では, 5例中3例で, Fungal indexが60以上の陽性を示した.Cand-Tecは5例中2例で16×の強陽性を示し, またマンナン抗原の検出は3例中1例に陽性であった.D-アラビニトールは4例すべて陰性であったが, D-アラビニトール/クレアチニン値は1例が正常上限以上の陽性であった。真菌学的検査では5例すべて血液よりCandida属が分離され, Candida al-bicansが3例, Candida Parapsilosis, Candida tropicalisがそれぞれ1例であった.