日本医真菌学会雑誌
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深在性真菌感染症マウスにおける漢方製剤十全大補湯の経口投与による延命効果
内田 勝久安部 茂小松 靖弘赤川 元山口 英世
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1995 年 36 巻 1 号 p. 47-51

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抄録
漢方医薬である十全大補湯製剤TJ-48の深在性真菌症に対する有効性の有無を明らかにするため,マウス感染モデルを用いて,本剤の経口投与による予防及び治療効果を検討した.正常マウスおよび,シクロホスファミド(CY)前処置によって,免疫抑制状態にしたマウスにCandida albicansを静脈内接種し,1日1回5日間,TJ-48を連日投与した.その結果CY前処置の有無にかかわらず,2g/kgまで用量依存的に,生存期間が延長した.TJ-48投与マウスにおいては,腎臓内生菌数の減少が認められた.この治療効果は,TJ-48を菌接種前に投与した場合の予防的効果より,明確に観察された.又,フルコナゾールとTJ-48を併用することにより,より強力な治療効果が得られた.TJ-48の治療効果は,Aspergillus fumigatus感染モデルでも認められたが,Cryptococcus neoformans感染モデルでは明確でなかった.以上より,実験的真菌症に対して十全大補湯が治療効果を有すると結論した.
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