日本医真菌学会雑誌
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ヒトと動物に感染する皮膚真菌症
中村 遊香渡辺 晋一長谷川 篤彦
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1999 年 40 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

近年,生活環境の変化にともなって,動物とヒトとが極く身近に生活することが多くなり,その結果動物から感染する皮膚真菌症が増加する傾向にある.動物から感染する皮膚糸状菌症では,Microsporum canis, Trichophyton mentagrophytesおよびT. verrucosumの3菌種が疫学的に重要である.各々の菌について,臨床的,菌学的な特徴を理解することは,的確な診断をおこなうために必須であり,さらには病気の蔓延を防ぐことにもつながるものと思われる.スポロトリコーシスとクリプトコックス症は,欧米では罹患動物からヒトへの感染が報告されており,我が国でも罹患動物の取り扱いとともに,患者への問診に際して,動物との接触の有無などにも注意が必要と思われる.
そのため,各々の専門分野において相互に密接な情報交換を行うことが,重要であると考えられる.

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