日本医真菌学会雑誌
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フルコナゾール耐性Candida albicansに対するD0870の抗真菌活性
小島 正裕山田 秀彦中村 哲菊地 樹中西 猛高橋 靖雄望月 英典三上 襄
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1999 年 40 巻 4 号 p. 209-215

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抄録

臨床的にフルコナゾールに耐性化したCandida albicans 8株に対するD0870の抗真菌活性をin vitroおよびin vivoにおいて他剤と比較検討した.ミクロ液体希釈法で測定したD0870のMIC値(≦0.004-1.0μg/ml)は,フルコナゾール(2.0->64μg/ml)およびイトラコナゾール(0.031->8.0μg/ml)に比較して低値を示し,検討した他のアゾール剤と比較して同等以上の抗真菌活性を示した.マウス全身感染モデルの検討では,D0870の0.3-30mg/kg/dayの5日間投与によりマウスの生存日数延長作用が認められ,そのED50値は検討した他のアゾール剤の中で最も優れていた.サブローデキストロースブロス中で検討したD0870のC.albicans増殖抑制作用は,8株中1株の中等度耐性菌株において殺菌的であり,この菌株に対するin vivo殺真菌作用を腎内生菌数を指標として検討したところ,D0870 10mg/kg/dayの5日間投与により10例中5例で腎内生菌数が検出限界以下となり,投与開始時に比較して有意な(p<0.05)腎内生菌数の減少(2850±406→997±537CFU/g kidney)が認められた.10mg/kg単回経口投与後のマウス血漿中濃度は,in vivoでの抗真菌活性を説明づけるのに十分な濃度を維持していた.以上のことから,臨床的にフルコナゾールに耐性化した菌株に対するD0870の優れた抗真菌活性が明らかとなり,また,一部の菌株においては,その優れた抗真菌活性に殺真菌作用が関与することが示唆された.

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