抄録
アレルゲンとしての真菌は住環境に広く分布しており,主要真菌はCladosporium, Penicillium, Aspergillus, Alternaria, Wallemia, Rhdotoruiaなどである.空中浮遊真菌としてCladosporium, Penicillium, Alternaria, Fusariumなどが多く,これらは分布に季節特異性をもつ.ハウスダスト(HD)の真菌数(CFU)は季節に関わりなく104-6・g-1で,Asperillus restrctus, Eurotiumなどの好乾性真菌やPenicilliumが多い.一方好湿性真菌は少なく,また酵母や放線菌は,特定の湿性環境でない限り確認されることは少ない.
真菌細胞は発育のための温湿度など環境条件が整うと発育し,胞子かそれに近い形態から発芽をする.発芽により基質侵入した後,不規則な菌糸細胞を形成し外部環境に抵抗しながら複雑な汚染過程をたどる.
真菌によるアレルギーはダニ同様に広く認知されているが,アレルゲンとして重要な真菌種は特定されていないのが現状である.そこで真菌の持つ生物特性をアレルゲンの観点から1)発芽能,2)菌体外酵素のプロテアーゼ活性,3)HD中での真菌の活性・不活性について述べた.