日本医真菌学会雑誌
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真菌検査の受け入れ体制の現況
阿部 美知子
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2003 年 44 巻 3 号 p. 197-201

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抄録

「今後,注目すべき深在性真菌症」というテーマのシンポジウムに際し,これらの検査を担当する検査室がどのような状況にあるか,アンケート調査を行い,8年前に実施した調査成績と比較した.
アンケートに参加頂いた167施設の回答を集計した結果,平均すると微生物検査室には168床あたり1人の技師が勤務し,技師1人あたり1日に細菌検査16件および真菌検査3.4件の新規検体を受け付けていた.真菌検査を担当する技師を決めている施設は1割のみで前回と同様であったが,真菌検査伝票あるいはオーダー画面を細菌検査伝票と別に作成している施設は23.4%で,前回調査の14.1%より増加していた.検査室で自主的に真菌分離用培地を追加するなどの努力がみられたが,糸状菌の分離例では,その同定および病原的意義について苦慮し,67.5%は初めての真菌の同定は自信がないと答えた.63.8%は講習会の実施を希望し,希望テーマは皮膚糸状菌67.3%,検査手技65.4%,黒色菌54.7%,Aspergillus以外の非着色菌51.6%などで,前回調査で上位になかった黒色菌あるいはAspergillus以外の非着色菌にも目がむけられてきていた.
以上の結果から今回のシンポジウムで挙げられたような菌種はもとより検査室の受け入れ体制は満足されるべきものでなく,卒後教育の継続や技師が気軽に相談できるレファレンスセンターの必要性を痛感した.

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