超音波医学
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原著
マンモグラフィで微小円形または淡く不明瞭な石灰化のみを呈した乳癌の超音波検査での石灰化の描出能と病理学的所見の対比
神谷 久美子豊島 里志小野 稔神谷 武志光山 昌珠
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2008 年 35 巻 6 号 p. 681-687

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抄録
目的:マンモグラフィ(MMG)で微小円形または淡く不明瞭な石灰化のみを呈した乳癌の超音波検査による石灰化巣の描出能とその病理学的所見の関係を検討する.方法:術前MMGで微小円形または淡く不明瞭な石灰化のみを示した非浸潤性乳管癌あるいは微小浸潤癌14例を対象に,超音波像での高エコースポットの明瞭さを3段階に分類した.組織亜型をcomedo typeとnon-comedo typeに分類,さらに組織学的因子として石灰化径,管腔拡張の程度,管腔密度,管腔内細胞量を3段階に分類した.結果:組織亜型では,comedo typeを有するものは8例中7例で高エコースポットが描出されたが,non-comedo typeのみの病変では6例中5例で描出は不能であり,comedo typeを有するものは有意に高エコースポットの描出が明瞭であった(P=0.007).組織学的所見では,石灰化径の大きいもの(P=0.02),管腔拡張程度が大きいもの(P=0.003),管腔密度が高いもの(P=0.01)が有意に高エコースポットの描出が明瞭であったが,管腔内細胞量と高エコースポットの描出に有意な相関は認めなかった(P=0.58).結論:comedo typeでは高エコースポットが良好に描出された.組織学的所見として,石灰化径が大きい,管腔が拡張している,管腔密度が高いほど高エコースポットの描出が明瞭であった.
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© 2008 一般社団法人 日本超音波医学会
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