超音波医学
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総説
  • 谷川 俊一郎
    2019 年 46 巻 6 号 p. 503-512
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/14
    [早期公開] 公開日: 2019/10/28
    ジャーナル 認証あり

    超音波診断装置の大きな特長は,生体内臓器をリアルタイムに観察できることである.カラードプラ法を用いれば血流を動画像で観察でき,また造影剤を用いれば,臓器内の微小血流も高いフレームレートで観察できる.近年,超音波診断の新しい技術として注目されているshear wave elastographyは,臓器の硬さに関して定量診断を行う手法であり,臓器を振動させその過渡的な動きを計測する方法は,時間分解能の高い超音波診断の特長を活かした技術であるといえる. 本稿では,超音波shear wave elastographyの原理とその応用について概説する.

特集「血管領域における比較的稀な所見・疾患・病態に遭遇したとき」
  • 濱口 浩敏
    2019 年 46 巻 6 号 p. 515-521
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/14
    [早期公開] 公開日: 2019/09/12
    ジャーナル 認証あり

    日常臨床の現場では,様々な血管疾患に遭遇する.頭頸部領域においては,名称は知っていても実際に遭遇する機会が少ない疾患と,非常に稀な疾患の両者が存在する.前者の代表が血管炎であり,後者については走行異常や動脈瘤などが代表的である.血管炎においては,大型血管炎である高安動脈炎,巨細胞性動脈炎を知っておく必要がある.また,もやもや病など病態の主座が頭蓋内動脈に存在する場合において,頸部動脈に影響がでることで特徴的な病態を認めることもある.さらに,椎骨動脈解離やBow hunter症候群など椎骨動脈領域にも比較的稀な病態が存在する.また,非常に稀な疾患として,内頸動脈無形成,Carotidynia,頸動脈仮性動脈瘤などが挙げられる.これら稀な疾患に遭遇したときには動画を駆使して明瞭な画像を残すことを心がけてもらいたい.

  • 小林 大樹, 末光 浩太郎
    原稿種別: 血管領域における比較的稀な所見・疾患・病態に遭遇したとき
    2019 年 46 巻 6 号 p. 523-529
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/14
    [早期公開] 公開日: 2019/01/09
    ジャーナル 認証あり
    上腕動脈は上腕部を走行する動脈であり,肘関節部より1~2横指末梢側で橈骨動脈と尺骨動脈に分岐する.しかし,稀に腋窩付近またはその末梢側でそれらが分岐する高位分岐例が存在する.今回,超音波検査で高位分岐を正確に診断できた症例を中心に解説する.68歳,女性,右手第I‐IV指に潰瘍が出現し当院受診となった.超音波検査では腋窩付近で橈骨動脈が分岐する上腕動脈高位分岐例であった.上腕部の橈骨および尺骨動脈は血流を認めたが,前腕部の両者は閉塞していた.前腕部の骨間動脈においては微弱ながら血流シグナルを認めた.血管内治療を施行する方針となり,橈骨および尺骨動脈の分岐部をエコーガイド下でマーキングを行った.高位分岐のため,左鼠径部からアプローチしガイドワイヤーを進めた.造影画像とマーキング部から橈骨動脈起始部を同定し,橈骨動脈閉塞部を手関節部まで通過,バルーンカテーテルで拡張し血流を再開通させた.術前の超音波検査で橈骨動脈の起始部を同定したことが,血管内治療の手技において有用な情報になった.超音波検査において上腕動脈を描出する際は,必ず短軸像から描出し動脈が1本か2本かを意識する必要がる.また,術前に高位分岐を診断しておくことで,シースの留置部位が決定でき,必要最小限のデバイスで効率良く治療手技を進めることができる.
  • 西上 和宏
    原稿種別: 血管領域における比較的稀な所見・疾患・病態に遭遇したとき
    2019 年 46 巻 6 号 p. 531-534
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/14
    [早期公開] 公開日: 2018/04/09
    ジャーナル 認証あり
    【背景】腎動脈以外の腹部血管は単独で精査の対象となることは少なく,一般に心エコー,下肢動脈エコー,下肢静脈エコーの際に併せて評価し,偶然に疾病が発見される.本稿では,比較的稀な所見・疾患・病態に焦点があてられており,それらを中心に呈示したい.【腹部静脈】下大静脈の先天異常では左下大静脈遺残があり,左腎静脈に流入する.右下大静脈欠損では,奇静脈に還流することが多い.下大静脈の血栓は腫瘍との鑑別が問題となる.腹部はリンパ節を含め腫瘍に注意する.門脈系の血栓も稀にみられる.【腹部大動脈】動脈硬化性の変化は大動脈瘤を含め多いが,特にIgG4関連疾患で大動脈周囲の線維化が話題となっている.内腸骨動脈瘤はエコーで見逃されやすい.大動脈解離では,分枝血管の虚血が問題となる.上腸間膜動脈の解離が時にみられる.【腎血管】心不全の原因となる腎動脈狭窄は要注意で多くは動脈硬化性であるが,線維筋性異形成も忘れるべきではない.左腎静脈が上腸間膜動脈と大動脈挟まれて,血流が鬱滞すると拡張し,ナッツクラッカーサインと呼ばれる.【結論】心エコー,下肢動脈エコー,下肢静脈エコー,腹部エコーの際に併せて腹部血管を観察することが肝要である.予想外の疾患を検出することは稀ではなく,それが病態の本質につながることもある.ルーチンのエコーに腹部血管のスクリーニングを含めることが望ましい.
  • 藤崎 純, 鈴木 真事, 中村 正人, 関口 隆三
    原稿種別: 血管領域における比較的稀な所見・疾患・病態に遭遇したとき
    2019 年 46 巻 6 号 p. 535-542
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/14
    [早期公開] 公開日: 2018/06/15
    ジャーナル 認証あり
    高齢化および食生活の欧米化に伴い動脈硬化性疾患である閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans:ASO)は急増している.下肢動脈エコーの検査目的もほとんどはASOの有無を判別することであり,それ以外の疾患は稀である.下肢動脈領域で稀な症例に遭遇した際の診断ポイントとしては,まず動脈硬化性病変との鑑別,急性疾患との鑑別,血管の走行,病変部の形態などの詳細な観察が重要であり,また患者さんの話を聴く,足を診ることで得られる情報から診断に結びつくこともある.
  • 髙井 洋次
    原稿種別: 血管領域における比較的稀な所見・疾患・病態に遭遇したとき
    2019 年 46 巻 6 号 p. 543-550
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/14
    [早期公開] 公開日: 2018/08/27
    ジャーナル 認証あり
    下肢静脈超音波検査は,深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)と下肢静脈瘤の評価が主目的となる.日常業務の大半をこれらのスクリーニング検査が占めている.ある程度の技術を身に付けて手順を学べば多くのスクリーニング検査には対応できるようになるが,様々な疾患の病態に対する知識がなければ十分な検査結果を得ることができない.先天性静脈奇形であるKlippel-Trenaunay 症候群(KTS)は深部静脈形成不全やDVTを伴うこともあり,表在静脈の走行も一様ではない.よって,超音波検査の画一化された検査手順は存在しないが,多種な病態を示すことを知っておくことが重要である.特殊型下肢静脈瘤の原因である骨盤内静脈鬱滞症候群(pelvic congestion syndrome:PCS)においては通常型(伏在型,側枝型)静脈瘤の原因である伏在静脈大腿静脈接合部および合流枝への逆流を確認,大腿背部穿通枝不全の有無を確認することでPCSの疑いとすることが出来る.ナットクラッカー症候群がPCSの原因であることも考えられるためやせ型体型の患者であれば左腎静脈の確認もしておくとよい.静脈疾患の多くは圧排や逆流による圧力の変化により生じていることが多い.異常所見を見つけた時にはどこにその原因があるかを確認・推測していくが,その理解のためには解剖や生理,疾患の病態を理解しておく必要があると考える.
症例報告
  • Junko MOCHIZUKI, Yuji KANAI, Yoko ONISHI, Yoko KISHIMOTO, Kenichiro HA ...
    2019 年 46 巻 6 号 p. 551-554
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/14
    [早期公開] 公開日: 2019/09/02
    ジャーナル 認証あり

    Jeune syndrome is a ciliary disorder characterized by short ribs, polydactyly, and multisystem organ abnormalities. This is a case report of a fetus terminated at 19 weeks of gestation because of short limbs, short ribs, and ascites. The fetus was found to have different mutations in both alleles of the DYNC2H1 and was diagnosed as having Jeune syndrome (MIM #613091) caused by compound heterozygotes. We present and describe skeletal images at 18 weeks of gestation recorded using three-dimensional sonography and helical computed tomography.

  • Hiroko KONNO, Takeshi MURAKOSHI, Eri SOGA, Shuhei TERADA, Mitsuru MATS ...
    2019 年 46 巻 6 号 p. 555-558
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/14
    [早期公開] 公開日: 2019/09/24
    ジャーナル 認証あり

    A bipartite placenta develops in 3% of monochorionic diamniotic twin pregnancies. It initially resembles a dichorionic placenta on ultrasonography, but has one chorionic and two amniotic membranes. Almost all monochorionic diamniotic twin placentae have intertwin vascular anastomoses. Older case reports have recorded cases of bipartite placenta in monochorionic diamniotic twins, with vascular anastomoses between the two fetuses-a finding considered to be a reliable marker of a monochorionic placenta. We report two cases of monochorionic diamniotic twin pregnancies, presenting with separate placental masses, and without any intertwin vascular anastomoses. Histological examination revealed a monochorionic and diamniotic intertwin membrane, but a dye injection study in each case demonstrated a complete absence of vascular anastomoses between the two parts of the placenta.

  • 細見 恵, 岩崎 昭宏, 松本 尚子, 米澤 宜洋, 影山 敦子, 足立 誠己, 奥 成聡, 濵口 浩敏
    2019 年 46 巻 6 号 p. 559-564
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/14
    [早期公開] 公開日: 2019/09/30
    ジャーナル 認証あり

    発症初期から79週にわたって超音波検査で経過観察し得た高安動脈炎の症例を経験した.症例は26歳女性.発熱と左頸部の圧痛を主訴に受診.頸部超音波検査を施行したところ,左総頸動脈から左内頸動脈起始部にかけて外膜側の不明瞭な壁肥厚像を認めた.MRI検査では同部位の血管外膜および周囲組織にT2高信号域が見られ,炎症所見が疑われた.また,MRA検査では血管内腔の狭窄や拡張病変を認めなかった.以上の画像所見からcarotidynia(頸動脈痛)を疑い,超音波検査にて経過観察となった.23週後には左内頸動脈の壁肥厚に改善傾向が見られた.30週後には左総頸動脈血管内膜面に壁不整像が見られるようになり,55 週後には左総頸動脈起始部に壁肥厚を認めたことから高安動脈炎を疑い,プレドニゾロン30 mg/日にて内服加療を開始した.57週後のMRI検査にて,左鎖骨下動脈にも辺縁平滑な狭窄像を認め,最終的に本症例は高安動脈炎であると診断した. 高安動脈炎は症状をきたした際には壁肥厚が進行し,頸動脈においてはいわゆるマカロニサインとよばれる全周性の壁肥厚所見を呈している場合が多い.初期画像を提示した報告例は非常に少なく,超音波画像で経時的変化を追った報告例は認めない.我々は発症初期に carotidynia に類似する画像所見を呈し,経時的に経過を追うことができた症例を経験した.このことは高安動脈炎の経過において非常に重要な所見と考える.

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