超音波医学
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第 18 回松尾賞受賞記念解説
  • 工藤 信樹
    2021 年 48 巻 5 号 p. 227-239
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/13
    [早期公開] 公開日: 2021/07/27
    ジャーナル 認証あり

    超音波の生体作用は,熱的作用と非熱的作用に分けられる.非熱的作用には,超音波の圧力が直接作用を及ぼす一次的効果と,超音波によって生じたキャビテーションが作用を及ぼす二次的効果がある.本文では,キャビテーションの二次的効果に注目し,超音波照射下における気泡のダイナミクスと,気泡が生体に作用を与える機序について解説する.また,超音波診断とX線診断が生体作用を生じる機序を比較し,キャビテーション現象に注目することの意議を明らかにする.さらにキャビテーションの作用を積極的に利用する治療法を紹介し,治療分野における超音波応用の有用性を明らかにする.

原著
  • 加藤 千絵子, 堀井 理絵, 宮城 由美, 國分 優美, 松枝 清, 上野 貴之, 大野 真司
    2021 年 48 巻 5 号 p. 241-247
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/13
    [早期公開] 公開日: 2021/07/29
    ジャーナル 認証あり

    目的:乳癌取扱い規約の乳腺腫瘍の組織学的分類(規約分類)が2018年に改訂された.本研究は,規約分類の改訂が浸潤性乳管癌の超音波診断に与える影響を検討することを目的とした.対象と方法:旧分類で浸潤性乳管癌の乳頭腺管癌と診断された91例を対象に,超音波画像と手術材料の病理組織検体を見直し,新分類の各組織型における超音波画像の特徴を探った.結果と考察:対象例は新分類で微小浸潤癌26例(28.6%),乳管内成分優位の浸潤癌51例(56.0%),浸潤性乳管癌腺管形成型14例(15.4%)と診断された.超音波画像は41例(45.1%)で腫瘤,48例(52.7%)で非腫瘤性病変として認められ,2例(2.2%)は病変を指摘できなかった.新分類で微小浸潤癌と診断された症例中19例(73.1%)は非浸潤性乳管癌に類似した非腫瘤性病変の像を呈した.乳管内成分優位の浸潤癌のうち22例(43.1%)は腫瘤,27例(52.9%)は非腫瘤性病変として認められた.腺管形成型では12例(85.7%)は充実性腫瘤を呈し,うち7例(58.3%)で乳腺境界線の断裂を認め,浸潤癌の組織型推定は容易であった.多彩な超音波画像を示す旧分類の乳頭腺管癌は新分類で3つの組織型に分けられ,それらはそれぞれ特徴的な超音波画像を呈した.結論:新分類は超音波画像による組織型推定を行いやすい分類である.

  • 剱 さおり, 角田 博子, 吉田 泰子, 八木下 和代, 野嵜 史
    2021 年 48 巻 5 号 p. 249-256
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/13
    [早期公開] 公開日: 2021/08/23
    ジャーナル 認証あり

    はじめに:乳房超音波検査において構築の乱れ様の低エコー所見であるにも関わらず,精検や経過観察から正常のバリエーションと判断できた症例を経験してきた.今回このような低エコー所見のどのような超音波所見に注意すれば正常のバリエーションとして精検不要とすることができるか検討した.対象と方法:2013年4月~2015年3月に施行された検診超音波で,一見癌に類似する構築の乱れ様の低エコー所見27名31所見を対象とした.その内訳は,精検の結果明らかな病変のなかった7所見と,精検不要として繰り返し受診により経過を追えた24所見である.これらを対象として超音波所見をretrospectiveに検討し,その後の経過も確認した.結果と考察:(1)クーパー靭帯による減弱ではない位置にも存在する(2)カラードプラにて分岐しない血管を認める(3) strain elastography施行全例で歪みの低下を認めないという共通した所見を認めた.分布は乳房の外側に多かった.細胞診あるいは針生検を施行した4所見はいずれも増殖性病変を認めなかった.中央値60ヵ月の経過中,精検例も含めた全例で癌発生は1例もないことが確認された.結論:構築の乱れ様の境界不明瞭な低エコー所見で一見癌に類似するもののなかに正常のバリエーションと判断してよいものがあることがわかった.不要な精検や組織診を回避するためにこのような症例を理解することは極めて重要である.

  • 松岡 由紀, 河内 伸江, 宇内衣 里子, 平林 彩, 八木下 和代, 鈴木 髙祐, 木村 武志, 角田 博子
    2021 年 48 巻 5 号 p. 257-262
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/13
    [早期公開] 公開日: 2021/08/16
    ジャーナル 認証あり

    目的:乳房超音波検査におけるエラストグラフィの有用性は増しているが,メーカによってそれぞれひずみ比(SR:FLR)のカットオフ値が異なることが分かっている.今回,当院にキヤノン社製Aplio i800が導入されたが,これまでに日本でキヤノン社製装置のStrain ImagingにおけるFLRのカットオフ値は示されていない.そのため,乳腺腫瘤を良性病変と浸潤癌とに分けてカットオフ値の検討を行った.対象と方法:対象は2018年10月1日から2019年3月31日までにAplio i800で乳房超音波検査を施行し,FLRを計測した症例である.良性病変は60症例,浸潤癌は70症例となった.後方視的にFLRの値を確認し,Youden indexを用い適正なカットオフ値を検討した.結果と考察:FLRのカットオフ値を4.38としたときが最適となった.乳腺甲状腺超音波医学会(JABTS)ガイドラインでも超音波装置の違いや,検査手技の違いによりSRのカットオフ値が異なる可能性を指摘されている.日立製作所(日立社)製装置では4.8と報告され,以前に我々はGE社製装置では3程度と報告している.使用する装置による相違を認識して検査を行うことが重要と考えられた.結語:キヤノン社製装置ではエラストグラフィにおけるFLRのカットオフ値は4.38程度となると考えられた.

  • 江尻 夏樹, 今野 佐智代, 薄根 美咲, 髙瀬 直敏, 吉原 明美, 林 光弘, 竹川 英宏
    2021 年 48 巻 5 号 p. 263-269
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/13
    [早期公開] 公開日: 2021/08/23
    ジャーナル 認証あり

    目的:BI-RADS USの診断基準に準拠したB-mode診断にshear wave elastography (SWE) の所見を加味し,乳腺腫瘤の良悪性診断能が向上するかを検討した.対象と方法:乳腺腫瘤97例(悪性42例)を対象に,B-modeで最大腫瘤径とdepth width ratio (D/W) を計測しBI-RADS USに従いカテゴリー分類した.SWEは剪断波伝播速度,組織弾性値および弾性値のカラーパターンを評価し,良悪性の差と診断率を求めた.結果と考察:悪性腫瘤は有意に高齢で,最大腫瘤径,D/W,剪断波伝搬速度,組織弾性値が高値であった.また悪性腫瘤の弾性値表示画像はカラーパターン3,4が多かった(p<0.0001).多変量解析では,剪断波伝搬速度 ≥ 4.07 m/s(オッズ比 17.1),組織弾性値 ≥ 53.7 kPa(17.1)およびカラーパターン≥ 3(19.2)が有用であった.さらにBI-RADS USカテゴリー 3,4の76例では,陰性的中率はカラーパターン≥ 3(91.7%)が, 陽性的中率は剪断波伝搬速度 ≥ 4.07 m/sまたは組織弾性値 ≥ 53.7kPa(61.9%)が最も高値であり,SWEの追加評価の有用性が示唆された.結論:BI-RADS USカテゴリー3と4の症例にSWEの所見を加味することで診断能の向上が得られる可能性が示された.

  • 藤崎 純, 金子 南紀子, 佐々木 有沙, 来住野 雅, 高橋 奎太, 大山 貴衣, 宇都宮 誠, 中村 正人, 久保田 義則, 前谷 容
    2021 年 48 巻 5 号 p. 271-279
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/13
    [早期公開] 公開日: 2021/08/19
    ジャーナル 認証あり

    目的:下肢動脈における血管内治療(EVT)前後で,鼠径部と足関節部のドプラ波形よりR-P時間を計測し,その比を用いて下肢の血行動態的評価の指標になり得るか検討した.対象:2019年4月から2020年9月までに下肢動脈に病変を認めなかった108例を対照群とし,総大腿動脈(CFA)以遠病変に対するEVTを行い,術前後に下肢動脈エコーおよび足関節/上腕血圧比Ankle Brachial Index(ABI)を検査し得た67人78病変(膝上病変46例,膝下病変32例)を病変群とした.方法:CFA,足関節部の前脛骨動脈(ATA)・後脛骨動脈(PTA)にてR-P時間を計測し,CFAのR-P時間を基準にATA/CFA R-P時間比(R-P time ratio : RPR),PTA/CFA RPRを算出した.対照群と病変群を比較し,さらに病変群のEVT前後でRPRとABIの比較検討した.結果:RPRは病変群で有意に高値を示し,RPRの基準値を1.41とした場合に,総大腿動脈以遠に有意な病変を有さず,良好な下肢血流動態と判断できる場合の感度は96%であった.EVT前後の比較では膝上病変はABIと同様にEVT前後で有意差を認め,膝下病変ではABIで有意差を認めなかったが,RPRは有意差を認めた.結論:RPRは,下肢全体の血行動態的評価が行え,特に膝下動脈の血行動態的評価をABIよりも鋭敏に行える可能性が示唆された.

症例報告
  • 簑田 直樹, 多田 俊史, 松﨑 俊樹, 住ノ江 功夫, 綿貫 裕, 中村 進一郎
    2021 年 48 巻 5 号 p. 281-286
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/13
    [早期公開] 公開日: 2021/07/27
    ジャーナル 認証あり

    症例は70歳代女性,前医より急性肝炎もしくは急性胆管炎,そして肺門部腫瘤が疑われ,精査加療目的に当院紹介となった.各種血液検査では軽度の貧血,肝胆道系酵素の上昇,炎症反応の軽度上昇が認められた.超音波検査(Bモード)では肝両葉は著明に腫大し,肝表面に近い肝臓実質内に厚みのある辺縁低エコー帯を伴う低~等エコー腫瘤が散在していた.造影超音波検査(後血管相)のコンベックスプローブの観察では,肝臓内に最大8 mm大の欠損像が多数認められた.さらに造影超音波検査(後血管相)のリニアプローブの観察では,肝臓内に無数の微小な欠損像が認められた.腫瘍マーカーはNSE: 562.0 ng/mL,ProGRP: 36,325.4 pg/mLで高値であった.気管支鏡検査による縦隔リンパ節の細胞診の所見は小細胞肺癌のリンパ節転移であった.造影超音波検査(後血管相)においてリニアプローブを使用することで,肝臓内にコンベックスプローブでは不明瞭であった無数の微小な欠損像を指摘でき,腫瘍マーカーと合わせて,小細胞肺癌のびまん性肝転移と診断できた.原因不明の肝障害で,背景に悪性疾患が疑われ,Bモードで肝腫大や腫瘤性病変を指摘した場合,びまん性肝転移も鑑別に挙げる必要がある.そして検査者は臨床側に造影超音波検査での精査を進言することで,迅速な診断の一助になり得ると考えられた.

  • 垣内 雅隆, 丸上 永晃, 小田 侑希, 石田 憲太朗, 多田 明良, 松永 剛, 丸上 亜希, 田中 利洋, 平井 都始子, 藤本 清秀
    2021 年 48 巻 5 号 p. 287-291
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/13
    [早期公開] 公開日: 2021/08/19
    ジャーナル 認証あり

    精巣捻転症は早急な診断と適切な治療が行われなければ,精巣機能の喪失につながる泌尿器緊急疾患である.間欠性精巣捻転症では,来院時に精索の捻転が解除されて症状が軽減しており,診断や今後の治療方針決定に難渋することが多い.今回,超音波で精巣の易回転性を評価し,間欠性精巣捻転症と診断しえた症例を経験したので,評価法を含めて報告する.症例は20代男性,5日前より間欠的な左側陰嚢痛を自覚しており,当院泌尿器科を受診した.超音波検査では,患側である左精巣には,反時計回りの180度の回転がプローブ走査で確認できた.検査中には疼痛の増強の訴えはなかった.

  • Rio ASADA, Akiko Iguchi-MANAKA, Mai OKAZAKI, Aya UEDA, Emika ICHIOKA, ...
    2021 年 48 巻 5 号 p. 293-297
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/13
    [早期公開] 公開日: 2021/08/19
    ジャーナル 認証あり

    Ectopic breast tissue is a common anomaly of the breast that generally presents along the embryonic milk line; however, fibroadenoma of ectopic breast tissue is a rare disease. In this article, we report a rare case of fibroadenoma that developed in the ectopic breast tissue of the right axilla in a 25-year-old Japanese woman. Ultrasonography, fine-needle aspiration cytology (FNAC), and core needle biopsy (CNB) were done, and the mass was diagnosed as fibroadenoma of the ectopic breast tissue. As with normal breast tissue, various breast tumors can develop in ectopic breast tissue. In addition to ectopic breast tumors, axillary tumors need to be further differentiated from metastatic lymph nodes, abscesses, lymphomas, and so forth; thus, it is difficult to diagnose such tumors quickly and accurately. Ultrasonography, cytology, and histology are invaluable for determining the diagnosis and treatment.

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