超音波医学
Online ISSN : 1881-9311
Print ISSN : 1346-1176
ISSN-L : 1346-1176
早期公開論文
早期公開論文の2件中1~2を表示しています
  • 上原 麻理子
    論文ID: JJMU.R.253
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/23
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    急性腹症は日常的に遭遇する病態で,しばしば鑑別診断として婦人科疾患があげられる.特に本稿で取り上げる異所性妊娠,卵巣出血,卵巣腫瘍茎捻転はその代表的な疾患で,無症状のまま経過することも少なくない.しかし,一旦発症すると短時間で重篤な状態となり,緊急手術を必要とする,生命予後に関わる,などの可能性があり,緊急対応を余儀なくされる.日常の婦人科診療においては,対象臓器の解剖学的位置と得られる情報量の多さから経腟(経直腸)超音波が使用される頻度が高いが,発症時に必ずしも婦人科を受診するとは限らないため,すべての検者がこれら疾患の特徴と見逃してはいけないサインを理解しておくことが望まれる.

  • 山田 博胤
    論文ID: JJMU.R.251
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/09
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    「パニック所見」とは,生命に危険を及ぼす可能性のある異常所見であり,これに対する迅速かつ適切な対応が求められる.2023年11月に日本超音波医学会から発表されたガイドラインに基づき,パニック所見は単なる異常所見ではなく,各施設で定められた緊急対応システムとして機能すべきである.超音波検査は臨床検査技師が行うことが多く,異常所見を発見した際には冷静な対応が必要である.心エコー図検査は生命に直結する心臓の異常を発見することができるため,パニック所見に遭遇した際の速やかな対応が求められる.検査前には,依頼内容を把握し,心電図などの最新情報を確認することが大切である.パニック所見を見つけたとき,症状や血行動態異常を伴う場合は直ちに医師に連絡する.症状がなく血行動態が安定している場合は,以前の検査結果と比較し対応を判断するのがよい.直ちに対応/報告すべき緊急所見を認める疾患には,急性冠症候群,心タンポナーデ,急性大動脈解離,急性肺血栓塞栓症,心腔内異常構造物(心腔内血栓,心臓腫瘍,感染性心内膜炎),心室中隔穿孔,仮性心室瘤,乳頭筋/腱索断裂による急性重症僧帽弁逆流,左室流出路狭窄,重篤な不整脈が挙げられる.また,速やかに対応/報告すべき準緊急所見を認める心疾患には,人工弁機能不全,心不全の新規発症/急性増悪,新規の重症弁膜症がある.迅速な対応が予後に大きく影響する循環器疾患において,パニック所見のシステムは患者の安全を守るために不可欠であり,各施設の実情に応じたシステムの構築が求められる.

feedback
Top