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何森 亜由美, 國分 優美
論文ID: JJMU.R.256
発行日: 2026年
[早期公開] 公開日: 2026/03/05
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磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging:MRI)で新たに検出される病変は,初回超音波検査ではカテゴリー2または3の病変である場合が多い.セカンドルック超音波(second-look ultrasonography:US)においては,微量の分泌物貯留を伴う乳管拡張病変,単一の短い乳管拡張病変,5 mm未満の嚢胞様病変,8 mm未満の乳腺症様病変,および非常に不明瞭な病変も対象病変となり,変形している乳房でこれらを同定することは通常よりも困難になると考えられる.現在,MRI検出病変のセカンドルックUSの適応に関する明確な統一基準は存在しないため,正確な比較は不可能であるが,最近の研究によれば腫瘤と非腫瘤性病変のMRI検出病変の比は7:3であり,悪性病変の比率はそれぞれ約30%であると報告されている.2012年頃までは,US同定率は約70%であり,US非同定病変にMRIガイド下生検を行うとわずかに悪性病変が認められた.したがって,USで同定されなかった病変はフォローアップするべきという見解もあれば,MRIガイド下生検を実施すべきという見解もある.しかし最近,セカンドルックUSのランドマークに周囲の解剖学的構造を使用することで,同定率は87~99%まで上昇しており,これらの悪性病変の割合はMRIガイド下生検の報告と同様である.さらに,ハイリスク乳癌に対する最近のサーベイランスではMRI検出病変のUSによる経過観察も推奨されている.本レビューでは,MRI検出病変に関する文献について考察し,周囲の解剖学的構造をランドマークとしたMRIセカンドルックUSの観察法について述べる.
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三村 秀毅
論文ID: JJMU.R.288
発行日: 2026年
[早期公開] 公開日: 2026/03/05
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脳卒中の原因の一つである右左シャント(right-to-left shunt:RLs),特に卵円孔開存は,若年者の脳梗塞や原因不明の脳卒中との関連が注目されている.RLsの検出には経頭蓋超音波検査(transcranial Doppler:TCD/transcranial color flow imaging:TC-CFI)や経胸壁心エコー(transthoracic echocardiography:TTE)が主に用いられるが,TCD/TC-CFIは側頭骨の骨質により信号取得が困難な場合があり,TTEも簡便であるがやや感度が低いという課題がある.これらの課題を解決するため,我々は頸部に貼付して使用する新規超音波デバイス「PSUP:pastable soft ultrasound probe」を開発した.PSUPは総頸動脈を通過するマイクロバブルの信号を安定して検出でき,非侵襲的かつ簡便なRLsスクリーニングを実現する.装着が容易で,長時間の連続観察が可能である点も大きな利点である.また,検査者の技術に依存せず,客観的かつ自動的な判定が可能なため,救急現場や外来診療,健診など多様な臨床場面での応用が期待される.本稿では,RLs診断の現状と課題を概説し,新規デバイスPSUPの技術的特徴とその臨床的有用性について紹介する.PSUPは,従来の検査法では対応が困難であった症例にも適応可能であり,脳卒中の早期診断および再発予防に大きく貢献する可能性を持つ.
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中務 智文, 石津 智子, 早川 瑠璃子, 大内 真澄, 川松 直人, 佐藤 希美, 山本 昌良, 町野 智子, 川西 邦夫, 瀬尾 由広
論文ID: JJMU.K.41
発行日: 2026年
[早期公開] 公開日: 2026/02/25
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目的:腎うっ血は,うっ血性心不全の治療対象として注目されている.しかし,臨床的に有効な評価方法は確立していないのが現状である.そのため,腎うっ血を非侵襲的で簡便に評価可能であるSuperb Microvascular Imaging(SMI)の有用性を検討した.方法:うっ血性心不全モデルとして,ダール塩分感受性ラットを用い,測定時期によって早期群(コントロール群)と心不全群(心不全群)にわけた.中心静脈圧は,観血的に測定した.腎うっ血の評価は,カテ先マノメータを用いた腎間質圧(renal medullary pressure:RMP)および,ペルフルブタンを用いた造影エコーで評価を行った.関心領域(region of interest:ROI)は,葉間動静脈,小葉間動静脈および,それらを組み合わせた領域に設定した.ROI内のカラー表示画素数をROI全体の画素数で除した値をarea ratioとして算出した.さらに,腎内灌流指数(intra-renal perfusion index:IRPI)は,IRPI =(最大面積比 - 最小面積比)/ 最大面積比として定義した.結果:二群間で腎機能および左室駆出率に有意差は認められなかった.中心静脈圧,腎髄質のtime-to-peak(TTP),およびRMPは,心不全群で対象群よりも有意に高値であった.さらに,IRPIは腎髄質のTTP(p=0.028, R=0.60)およびRMP(p<0.001,R=0,84)と正の相関を示し,IRPIが腎うっ血の程度を反映する指標であることが示唆された.結語:IRPIは,うっ血性心不全モデルラットにおける腎うっ血評価に有用な指標であることが示された.
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奥野 のぞみ, 原 和生
論文ID: JJMU.R.269
発行日: 2026年
[早期公開] 公開日: 2026/02/16
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次世代シーケンシングの進歩により,腫瘍組織検体を用いた包括的ゲノムプロファイリング(comprehensive genomic profiling:CGP)及び血液検体を用いた液体生検を日常診療で実施できるようになった.胆膵癌に関しては,個別化された治療戦略を策定するためにCGPを検討する必要がある.腫瘍組織検体を用いたCGPを実施するには,十分な数の高品質検体が必要である.この点に関してEUSガイド下組織採取(EUS-guided tissue acquisition:EUS-TA)が重要な役割を果たすと考えられ,内視鏡専門医がこの役割を担う必要がある.本稿では,膵癌及び胆道癌に重点を置いてCGPのためのEUS-TAの現状についてレビューする.
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能登原 憲司, 中村 香織
論文ID: JJMU.R.270
発行日: 2026年
[早期公開] 公開日: 2026/02/16
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穿刺生検(fine-needle biopsy:FNB)針を用いた組織コアの採取が可能になり,超音波内視鏡下穿刺吸引法(endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration:EUS-FNA)のための組織処理方法は変化しつつある.直接塗抹法,コア組織の捺印細胞診(touch smear)及び遠心塗抹法が細胞診に用いられているが,残余検体を用いた免疫染色及び遺伝学的検査を可能にする液状化検体細胞診(liquid-based cytology:LBC)が新たな方法として登場してきた.液状化細胞診(CytospinTM細胞診及びLBC)が今もなお重要である点は強調しておきたい.その理由は,検体中の癌細胞が少ない場合でも膵管癌(pancreatic ductal adenocarcinoma:PDAC)の診断が可能であるからである.セルブロック法は,FNB針によって採取されたコア組織に取って代わられつつある.最近の報告によれば,FNB針を用いた場合,検体適正を評価するために穿刺現場で行われている迅速細胞診(rapid on-site evaluation:ROSE)は不要で,肉眼的検体評価(macroscopic on-site evaluation)が用いられている.検体の肉眼所見は,診断の決定及び検体処理方法の選択のために有用である.PDACでは赤色紐状構造及び白色コアが観察され,その他に赤・白混合型紐状構造,灰色組織及びゼラチン様組織が観察される.灰色(壊死)組織及びゼラチン様(粘液)組織は,組織診よりもセルブロック又は細胞診により適している.神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)の腫瘍細胞は赤色紐状構造内に多数存在するが,肉眼で観察することはできない.したがって,NETの可能性がある病変にはROSEが必要と考えられる.コア組織はKRAS変異や包括的ゲノムプロファイリングなどの遺伝子検査に使用できる.スライドやLBC検体などの細胞診材料も遺伝子検査の材料となりうる.
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岡庭 信司
論文ID: JJMU.R.272
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/12/22
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超音波検査(ultrasonography:US)の重要な役割は癌のスクリーニング,鑑別診断,腫瘍浸潤深度の評価の3つのプロセスに分けられる.USはシンプルかつ低侵襲的な処置であるため,癌のスクリーニング及び健康診断に広く用いられている.胆嚢ポリープと胆嚢壁肥厚はどちらも一般的なUS所見である.一方,USは消化管ガスエコーの干渉を受けやすく,その診断精度は観測装置と超音波検査担当者の技能の両方に依存する.特徴的なアーチファクトとその影響への対処方法を十分に理解することも重要である.さらに,高分解能US(high-resolution ultrasonography:HRUS)によって得られる拡大画像は小型病変を捉えるために非常に有用である.鑑別診断に関しては,胆嚢隆起性病変(gallbladder polypoid lesion:GPL)を有茎性と無茎性(広基性)に分類することが非常に重要である.有茎性病変の中ではコレステロールポリープ,広基性病変の中では限局型の胆嚢腺筋腫症(adenomyomatosis:ADM)が特に重要な鑑別のターゲットである.さらに,数,サイズ,増殖速度,形状,内部エコー,表面輪郭,内部構造などの重要な所見を評価して総合的に判断する必要がある.通常は,USでは胆嚢壁が2層構造又は3層構造として描出される.しかし,内側低エコー層には粘膜と固有筋層だけでなく漿膜下線維層も含まれているので,層構造に基づくT1(粘膜又は固有筋層に限定)とT2(漿膜下に浸潤)との鑑別は困難である.形状,サイズ及び内部エコー構造も深達度診断に有用と考えられる.
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萩原 悠太, 山野 嘉久
論文ID: JJMU.A.270
発行日: 2026年
[早期公開] 公開日: 2026/02/02
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【目的】超音波検査において検者は,実患者への検査の前に一定の走査訓練が必要となるが,十分な機会が得られない場合も多い.その際に,走査練習用ファントムは有用であると考えられるが,そのニーズに関する調査の報告はない.本研究は,開発中の頸動脈超音波ファントムを提示しながら超音波検査を施行している医療機関にアンケート調査を行う形で,超音波ファントムに対するニーズを明らかにすることを目的とした.【対象と方法】超音波検査を施行している医療機関に勤務する20代から70代の医療従事者118名を対象に超音波ファントムに関するアンケート調査を実施した.【結果と考察】さらに頸動脈超音波検査を訓練した方がよいと思う人の割合は75%,技術向上を目的として頸動脈超音波ファントムを使用したい人の割合は53.6%であった.以上より,走査練習の機会を求めるニーズは高く,その機会の一端として超音波練習用ファントムは有用となる可能性がある.【結論】実際にファントムを使用している施設は少ないが,配備されれば使用する検者は多いことが予測され,走査技術向上の一助となることが期待できる.
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菅野 敦, 池田 恵理子, 安藤 梢, 横山 健介, 山本 博徳
論文ID: JJMU.R.284
発行日: 2026年
[早期公開] 公開日: 2026/01/30
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超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography:EUS)は,消化管付近の臓器に由来する疾患を正確に診断するために重要な診断法である.超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-guided fine-needle aspiration:EUS-FNA)は病理組織診断を向上させた.EUS-FNAは40年もの長期にわたって開発が進められてきた.超音波内視鏡,超音波観測システム,穿刺針及び穿刺方法の開発の歴史は,今後の開発に向けた足掛かりとなるであろう.
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植松 孝悦
論文ID: JJMU.R.254
発行日: 2026年
[早期公開] 公開日: 2026/01/29
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早期公開
乳房超音波(ultrasound:US)画像上の非腫瘤性病変の用語は,臨床的管理を明確に規定して乳房US画像を解釈する医師および超音波検査技師を支援する目的で日常診療に用いる.乳房画像研究の分野では,乳房USで同定された非腫瘤性病変を表す一貫した標準化用語が必要であり,これは特に良性病変と悪性病変を鑑別する際に重要である.医師および超音波検査技師は用語の有用性と限界を認識し,適正に用語を使用すべきである.次版のBreast Imaging Reporting and Data System(BI-RADS)の用語集には乳房USで検出された非腫瘤性病変を表す標準化用語が収録されることを期待している.
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渡辺 隆紀
論文ID: JJMU.R.255
発行日: 2026年
[早期公開] 公開日: 2026/01/19
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非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ:DCIS)の超音波画像は,腫瘤から非腫瘤性病変に至るまで大幅なバリエーションが認められる.本稿では,日本乳腺甲状腺超音波医学会(The Japanese Association of Breast and Thyroid Sonology:JABTS)が実施したBC-02研究に基づくDCISの超音波画像の特徴について述べる.BC-02研究では,705例のDCIS症例の超音波画像を画像所見によって分類した.その結果,全病変の60%が非腫瘤性病変,40%が腫瘤であった.各亜分類を見ると,乳腺内の低エコー域が最も多く(全体の50%),次いで充実性腫瘤(31%),混合性腫瘤(9%),乳管の異常(8%)の順であった.これら4つの分類が全体の98%を占めていた.低エコー域を伴わない点状高エコー,構築の乱れおよび小嚢胞集簇は非常に稀であり,全体の約1%であった.DCISの超音波画像は,腫瘤から非腫瘤性病変に至るまで大幅なバリエーションを呈し,乳腺内の低エコー域が最も多く,次いで充実性腫瘤が多かった.
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山本 真一, 中山 雅之
論文ID: JJMU.R.268
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/12/16
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超音波気管支鏡ガイド下針生検(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration:EBUS-TBNA)は,肺癌,サルコイドーシス,リンパ増殖性疾患などの肺疾患の革新的な診断ツールとして浮上してきた.従来の侵襲的な手法(縦隔鏡検査,胸腔鏡検査など)と比較して,この非侵襲的な手技は優れた診断率をもたらすと同時に患者の安全を最大限に確保する.リアルタイム画像検査とともに縦隔・肺門リンパ節及び腫瘤の気管支鏡からの直接採取を可能にすることにより,EBUS-TBNAは気管支鏡診断の精度を向上させた.本包括的レビューでは,EBUS-TBNAの起源,開発及び現状について検討し,その成功を明確化するとともに改善の余地がある領域を特定する.技術的進歩は,EBUS-TBNAの信頼性及び有効性を継続的に向上させてきた.EBUS-TBNAの優れた診断率の原因メカニズムについて詳細に考察し,肺癌の病期判定及び診断のゴールドスタンダードとしての地位をより強固にする.さらに,本レビューでは,正確度,安全性及び費用対効果を他の診断ツールと比較した研究に基づいて,肺癌診断におけるEBUS-TBNAの重要な役割を探求する.将来を見据えて,進行中の研究ではEBUS-TBNAの用途を拡大して診断性能を向上させることを目指している.針デザイン及び検体採取方法の著しい進歩は,EBUS-TBNAの有効性の更なる向上への期待を抱かせる.包括的訓練及び継続的な技術発展による潜在能力の最大化は幅広い臨床応用を可能にし,最終的には患者アウトカムの改善をもたらす.EBUS-TBNAは進化し続けているので,診断への影響度が高まり,肺疾患の診断及び管理に不可欠なツールとしての地位を確立すると考えられる.
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山川 誠, 椎名 毅
論文ID: JJMU.K.40
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/12/02
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目的:血管分布は,病気の診断や手術支援における重要な情報である.光音響イメージングは,血管を非侵襲かつ高分解能で画像化できる技術である.光音響イメージングにおいて,様々な方向に走行している血管を描出するには半球型アレイセンサが適している.しかし,技術的・コスト的な問題から素子密度が疎な半球型アレイセンサが用いられており,これによりアーチファクトが生じていた.そこで,本研究ではディープラーニング技術を用いて実素子の信号から仮想素子の信号を生成することで仮想的に稠密なアレイセンサを実現し,アーチファクトを低減する.
方法:3次元畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて仮想素子信号を生成することは,膨大な計算コストがかかるため現実的ではない.そこで,私たちは3方向の螺旋パターンに沿って,実素子と実素子の中間に仮想素子を配置し,2次元CNNを用いて仮想素子信号を生成し,実素子と仮想素子の信号を用いて光音響画像を再構成する.
結果:提案手法をシミュレーション実験とヒト掌の計測データを用いて評価した.その結果,実素子のみを用いた画像ではアーチファクトが顕著に見られたが,提案手法を適用した画像ではアーチファクトが大幅に低減された.
結論:提案手法を用いることでアーチファクトを大幅に低減することができ,より深部の血管認識が可能となった.また,処理時間は,臨床計測に十分適用可能な時間であった.
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大野 栄三郎, 葛谷 貞二, 川部 直人, 中岡 和徳, 田中 浩敬, 中野 卓二, 宮地 洋平, 橋本 千樹, 廣岡 芳樹
論文ID: JJMU.R.283
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/12/02
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早期公開
超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography:EUS)では,高い空間分解能で他の診断法より詳細な画像が得られる.さらに,超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-guided fine needle aspiration:EUS-FNA)や超音波内視鏡下穿刺生検法(EUS-guided fine needle biopsy:EUS-FNB)(EUS-FNA/FNB)などの超音波内視鏡ガイド下組織採取(EUS-guided tissue acquisition:EUS-TA)は,胆膵疾患の診断に不可欠なツールであり,確定病理診断を補助するものである.本レビューでは,以下の胆道系疾患の診断におけるEUS-TAの現状及び有用性を評価する:(A)胆管狭窄の鑑別診断,(B)胆道癌(biliary tract cancer:BTC)自体に対する穿刺,(C)進行BTCの病期判定.過去の報告から,胆道系病変に対するEUS-FNAは胆道癌と良性病変の鑑別及びBTCの病期判定に有用かつ安全な手技であることが明らかになっている.一方,胆管病変に対するEUS-FNAの診断性能は経乳頭的生検と同程度であると報告されている.全体的に,胆道系病変に対するEUS-FNAは安全かつ有効な方法と考えられるが,胆汁漏や癌の腹膜播種などの重篤な有害事象のリスクを理解した上で実施すべきである.胆管内腔に穿刺針を通過させる必要がなければ,内視鏡的逆行性胆管膵管造影によって診断又は胆嚢病変を確定できない遠位胆管狭窄にはEUS-FNAが推奨される.
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神山 直久, 杉本 勝俊, 中原 龍一, 掛川 達矢, 糸井 隆夫
論文ID: JJMU.K.38
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/11/11
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目的:造影超音波検査(contrast-enhanced ultrasound:CEUS)では,造影剤投与後の経過時間によって造影パターンが変化する.本研究では,9時相のCEUS画像を入力とする独自の深層学習モデルを用いて,肝結節の性状診断能を評価することを目的とした.方法:前向き試験として,肝病変181例〔良性48例,肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:HCC)78例,非HCC悪性腫瘍55例〕を対象とした.造影剤にはSonazoidを用い,注入前のBモード画像に加え,投与後10分まで1分ごとに画像クリップを記録した.深層学習モデルは3つのResNet50転移学習モデルを並列に配置して構築した.本モデルではCEUSの最大9相までのデータセットを同時入力でき,9枚の画像を同期して画像拡張処理することが可能である.結果から「良性」と「悪性」の正診率,感度,特異度を時相の組み合わせごとに算出し,これらの精度指標を読影医が判定したウォッシュアウトスコアと比較した.結果:提案モデルは,Bモードから投与後10分までの画像を含むデータセットを用いた場合に参照標準モデルを上回る性能を示した(感度93.2%,特異度65.3%,平均正診率60.1%).また,データセットを造影剤投与後2分以内に限定しても感度90.2%,特異度61.2%を維持し,この精度は専門医によるウォッシュアウトスコア判定と同等以上であった.結論:本モデルは,クッパー相より早い段階で腫瘍の種類を判別できる可能性を示した.同時に,機械学習の結果から,Sonazoidを用いたクッパー相画像には肝結節を分類するうえで不可欠な情報が含まれていることが確認された.
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土井 晋平, 足立 貴子, 渡邊 彩子, 勝倉 暢洋, 辻川 尊之
論文ID: JJMU.R.267
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/10/30
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超音波内視鏡ガイド下組織採取(endoscopic ultrasound-guided tissue acquisition:EUS-TA)は,1992年に最初に報告がされて以来,著しい進歩を遂げてきた.初期には膵臓を主な対象としていた超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-guided fine-needle aspiration:EUS-FNA)は,現在ではさまざまな臓器にまで適応が拡大している.最近,組織採取に適した設計の穿刺生検(fine-needle biopsy:FNB)針が開発され,従来の穿刺針では困難であった組織学的評価に適した検体採取が可能となった.FNB針は免疫組織化学染色及び遺伝学的評価への利用が期待され,特にリンパ節などの膵外病変においては,経皮的生検と同等の質の検体が得られる可能性がある.本総説では,拡大した標的部位(リンパ節,脾臓,副腎,腹水)におけるEUS-FNA/FNBの有効性に焦点を当てる.近年,EUS-FNAの適応は膵外にも拡大してきており,穿刺針のさらなる改良や技術の開発は,より高品質な検体の採取を可能にし,個別化治療の発展に重要な役割を果たすことが期待される.
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川端 聡, 岡庭 信司, 平井 都始子, 畠 二郎, 森 貞浩, 岩下 和広, 木下 博之, 山本 幸治
論文ID: JJMU.R.264
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/07/25
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消化管領域に於けるパニック所見には緊急所見(直ちに報告)の設定はない.準緊急所見(速やかに報告)としては,絞扼性腸閉塞の可能性が示唆される「蠕動の消失した腸管拡張」と「multiple concentric ring sign」に,消化管穿孔が疑われる「フリーエアー」を加えた3つが設定されている.蠕動消失の判定は腸の動きの所見に加えて内容物の沈殿の有無も確認する.絞扼性腸閉塞を直接疑う所見が得られればその旨を合わせて報告し,もしも単純性腸閉塞やイレウスとの鑑別が困難な場合には無理に鑑別を行わずにパニック所見として対応する.絞扼性腸閉塞の原因疾患としてはヘルニアの嵌頓や索状物による圧迫,捻転などが多く,これらの多くはclosed loop obstructionを形成する.例外として腸壁の一部のみがヘルニア門から脱出するRichter型ヘルニアや腸重積などが挙げられる.Multiple concentric ring signは腸重積でみられる特徴的超音波(Ultrasound:以下US)所見であり,重積腸管部分が短軸像で高エコーと低エコーの層からなる同心円状多層構造を呈する.小児の場合は90%以上が器質的疾患のない特発性で回腸結腸型が多く,成人では約7割が腫瘍を病的先進部として発症する.フリーエアーは90%以上が消化管穿孔によるものであり,原因疾患としては絞扼性腸閉塞をはじめとした虚血性腸疾患,消化性潰瘍,悪性腫瘍,急性虫垂炎や大腸憩室炎など多岐に亘る.フリーエアーのUS像は,ガスの反射によるstrong echoと,その後方に生じるアーチファクト(多重反射やコメット様エコー)によって認識されるが,小量の場合は消化管穿孔を疑って能動的に探しに行かなければ検出できないことが多い.
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松尾 汎
論文ID: JJMU.R.265
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/07/25
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早期公開
最近の医療施設では,検体検査は勿論,超音波検査などの生理検査でも医師以外の検査実施も多くなり,さらに検査室以外で検査する機会も増えている.その際に発生し得る「緊急事態への対策システム」を講じる必要があり,既に検体検査部門では,「パニック値」として臨床に広く知られた「緊急対応システム」がある.超音波検査でも,「その所見に緊急性がある」と判断した場合には速やかな診断・治療が求められる.超音波検査で得られた所見が緊急疾患と診断された場合には,その診断された疾患の緊急度・重篤度に応じた治療が必要である.ただし,「医師と検査技師・看護師など(以下技師等)とは職能が異なる」ことに注意する.医師は所見から診断して即処置・治療することが可能だが,技師等は画像・所見を認知/報告して確認依頼はできるが,診断や治療はできない.しかし,注意を要する「重篤な病態/疾患を考慮すべき画像・所見の候補」を予め明示しておけば,技師等が検査した場合に「注意すべき画像・所見の候補あり」と認知し速やかに医師に報告,確認を依頼できる.疾患の重篤度により緊急度は異なり,緊急度は「緊急」と「準緊急」の2階層+「早期」が提案された.「緊急報告体制(システム)」は各施設に応じて構築しておく必要があり,さらに各現場の実情に応じてそれらを吟味・検証を重ね,広く活用され臨床に役立つことが期待される.その為には,現場の技師等や医師への広報が必須である.
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平井 都始子, 川端 聡, 岩下 和宏, 喜舎場 智之, 千葉 裕
論文ID: JJMU.R.262
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/02/13
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日本超音波医学会より公示された,超音波検査の「パニック所見:緊急に対応すべき異常所見」の,泌尿器領域のパニック所見のポイントについて解説した.泌尿器領域の「緊急所見」は,腎外傷や腎腫瘍の破裂などに起因する後腹膜腔の液体貯留が該当する.腎は後腹膜に位置しGerota筋膜に囲まれているという解剖学的な特徴から,直ちに治療しなければ死に至る頻度は低い.バイタルサインと合わせて超音波所見を確認し,「準緊急所見」として対応できる場合が多いと思われる.泌尿器領域の「準緊急所見」は2つあり,一つは両側腎盂(腎杯)の拡張である.腎盂だけが拡張する腎外腎盂はパニック所見とする必要はない.片腎が無機能腎の場合は,対側の腎盂腎杯の拡張もパニック所見である.もう一つは発熱や圧痛を伴う腫瘤像(内部エコーを伴う液体貯留)である.発熱や圧痛を伴う腎感染症で,腫瘤像(内部エコーを伴う液体貯留),腎内気腫像,デブリを伴う腎盂拡張を認める場合は「準緊急所見」である.
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岡庭 信司, 岩下 和広, 平井 都始子, 川端 聡, 木下 博之
論文ID: JJMU.R.263
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/02/13
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早期公開
急性腹症の患者に超音波検査(ultrasound: US)を行う際には,被検者の反応やバイタルサインの変化に注意しながら,まず緊急度の高い疾患を除外し,その後患者の腹部症状,年齢,性別などから推測される頻度の高い疾患の評価を行うことが効率的かつ有用である.日本超音波医学会が提示した『超音波検査のパニック所見:緊急に対応すべき異常所見』(以下,パニック所見)は,緊急に対応すべきUSの異常所見を,①直ちに対応すべき「緊急所見」,②速やかに対応すべき「準緊急所見」,③早期に確実に対応すべき「異常所見」の3群に分類している.肝胆膵領域に関連する「緊急所見」には,デブリエコーを伴う腹腔・後腹膜腔の液体貯留があり,腹腔内出血,臓器損傷,肝細胞癌などの腫瘍破裂などに対応する.一方,「準緊急所見」には,充実性腫瘤の多発やcluster sign(多発肝転移),発熱や圧痛を伴う肝腫瘤像(肝膿瘍),発熱を伴う肝外胆管拡張(急性胆管炎),肝内胆管拡張(閉塞性黄疸),液体貯留を伴う胆嚢腫大(急性胆嚢炎),液体貯留を伴う膵腫大(急性膵炎)が含まれている.これらのパニック所見の特徴を熟知しておくことにより,急性腹症の患者における緊急度の高い疾患のスクリーニングを迅速かつ確実に行うことが可能となり,救急患者の急激な病状変化を回避し予後改善に貢献できると考える.
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上原 麻理子
論文ID: JJMU.R.253
発行日: 2024年
[早期公開] 公開日: 2024/12/23
ジャーナル
認証あり
早期公開
急性腹症は日常的に遭遇する病態で,しばしば鑑別診断として婦人科疾患があげられる.特に本稿で取り上げる異所性妊娠,卵巣出血,卵巣腫瘍茎捻転はその代表的な疾患で,無症状のまま経過することも少なくない.しかし,一旦発症すると短時間で重篤な状態となり,緊急手術を必要とする,生命予後に関わる,などの可能性があり,緊急対応を余儀なくされる.日常の婦人科診療においては,対象臓器の解剖学的位置と得られる情報量の多さから経腟(経直腸)超音波が使用される頻度が高いが,発症時に必ずしも婦人科を受診するとは限らないため,すべての検者がこれら疾患の特徴と見逃してはいけないサインを理解しておくことが望まれる.
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山田 博胤
論文ID: JJMU.R.251
発行日: 2024年
[早期公開] 公開日: 2024/12/09
ジャーナル
認証あり
早期公開
「パニック所見」とは,生命に危険を及ぼす可能性のある異常所見であり,これに対する迅速かつ適切な対応が求められる.2023年11月に日本超音波医学会から発表されたガイドラインに基づき,パニック所見は単なる異常所見ではなく,各施設で定められた緊急対応システムとして機能すべきである.超音波検査は臨床検査技師が行うことが多く,異常所見を発見した際には冷静な対応が必要である.心エコー図検査は生命に直結する心臓の異常を発見することができるため,パニック所見に遭遇した際の速やかな対応が求められる.検査前には,依頼内容を把握し,心電図などの最新情報を確認することが大切である.パニック所見を見つけたとき,症状や血行動態異常を伴う場合は直ちに医師に連絡する.症状がなく血行動態が安定している場合は,以前の検査結果と比較し対応を判断するのがよい.直ちに対応/報告すべき緊急所見を認める疾患には,急性冠症候群,心タンポナーデ,急性大動脈解離,急性肺血栓塞栓症,心腔内異常構造物(心腔内血栓,心臓腫瘍,感染性心内膜炎),心室中隔穿孔,仮性心室瘤,乳頭筋/腱索断裂による急性重症僧帽弁逆流,左室流出路狭窄,重篤な不整脈が挙げられる.また,速やかに対応/報告すべき準緊急所見を認める心疾患には,人工弁機能不全,心不全の新規発症/急性増悪,新規の重症弁膜症がある.迅速な対応が予後に大きく影響する循環器疾患において,パニック所見のシステムは患者の安全を守るために不可欠であり,各施設の実情に応じたシステムの構築が求められる.
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