抄録
超音波検査は簡易で低侵襲な検査法であるが,空気の存在によりその伝達が妨害される特性を持ち,診断能力は術者の技能に依存する.さらに,超音波検査特有のアーチファクトの存在およびその見分け方についても熟知しておく必要がある.胆嚢の腫瘍性病変においては,その超音波像を有茎性隆起型,広基性隆起型,壁肥厚型の3群に分類する.この分類は病変の鑑別診断のみならず深達度診断においても有用であり,有茎性隆起型の癌と診断出来ればその深達度は粘膜内に限局する早期癌(腺腫内癌)と考えられる.胆嚢癌との鑑別診断には,病変の大きさ,表面構造,内部エコー,病変付着部の胆嚢壁の性状などを評価することも重要である.さらに,胆嚢の腫大や胆泥の貯留あるいは虚脱といった胆嚢の異常像は潜在する胆管病変の拾い上げにも有用である.