超音波医学
Online ISSN : 1881-9311
Print ISSN : 1346-1176
ISSN-L : 1346-1176
原著
マルチチャンネル・マルチパラメータ胎児モニタ ‐胎児Behaviogram‐の開発
山越 芳樹篠塚 憲男三輪 空司
著者情報
ジャーナル 認証あり

2009 年 36 巻 4 号 p. 477-489

詳細
抄録

胎児心拍数陣痛図測定装置(cardiotocography: CTG)は分娩管理用途に,また妊娠後期の胎児に対する健康管理モニタとして広く使われてきている.しかし,CTGは基本的に連続波ドプラ法であり超音波ビーム方向に分解能が無いなど,測定対象が妊娠後期の比較的大きな胎児に制限されるという問題がある.さらに,CTGでの心拍数測定精度やその応答性については多くの議論があり,高精度で高い時間分解能を持つ胎児心拍数測定への要求も強い.本研究では,妊娠中期からの胎児の健康管理を行うために胎児心拍数,胎動,呼吸様運動など種々の胎児情報を,母体腹壁に装着したトランスジューサを用いて長時間測定出来る胎児モニタ(胎児Behaviogram)を開発することを目的としている.超音波ドプラ信号を検波するハードウエアとして実時間複素フーリエ解析法によるデジタル直交検波法を開発し専用のLSIを試作した.また,妊娠中期胎児モニタ用の超音波トランスジューサとして比較的浅い位置でのブラインド領域を低減させた二つの超音波トランスジューサを試作した.さらに,信号処理法として複素信号処理による高精度心拍数推定法を開発し,呼吸様運動の計測のためにフィルタドArcTan法による変位推定を組み入れた.また,これら信号処理法の最適化のために模擬胎児ドプラ信号生成用シミュレータを新たに構築した.

著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本超音波医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top