超音波医学
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特集「動脈硬化病変への超音波法によるアプローチ」
エコー輝度解析による頸動脈プラークの性状評価と冠動脈責任病変の不安定性との関連
堀端 洋子杉山 正悟小島 淳小川 久雄安東 由喜雄
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2010 年 37 巻 4 号 p. 437-445

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抄録

不安定プラークとは脂質成分に富み,その破綻が急性冠症候群を引き起こすことが知られている.近年,冠動脈内超音波法(IVUS)を用いた解析(Virtual HistologyTM)により冠動脈プラークの成分を解析することが可能となった.頸動脈エコーにおいてIntegrated Backscatter(IBS)を用いた解析で低IBS値のプラークは脂質成分に富んだプラークであることが報告されている.本研究では頸動脈プラーク性状と冠動脈プラークの不安定性との関係について検討した.対象は初回冠動脈形成術を施行前にIVUSを施行した連続14症例.頸動脈エコーでプラークの内膜中膜複合体厚(IMT),平均IBS値を測定し,VH-IVUSを用いて冠動脈責任病変を含む20mmの範囲のプラークの組織特性を測定した.頸動脈エコーの結果,最大IMT 2.1±1.2mm,平均IBS値-11.4±1.9dBであった.単回帰解析では線維‐脂質成分と壊死成分の総和の比率と頸動脈プラークの平均IBS値は有意な相関を示していた(p=0.03).頸動脈プラークのIBS値が低いほど,VH-IVUSで評価した冠動脈プラークの脂質含有量が豊富であり,冠動脈プラークは不安定であると考えられた.頸動脈プラークの性状を調べることにより非侵襲的に冠動脈プラークの不安定性を推定し,ハイリスク患者を同定出来る可能性がある.

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© 2010 一般社団法人 日本超音波医学会
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