抄録
左室心筋緻密化障害(left ventricular noncompaction: LVNC)は比較的最近認識されるようになってきた心筋症で,過剰な肉柱形成と深い肉柱間の間隙を有する.その臨床像は無症状の症例から高度の心機能障害を有するものまであり,きわめて多彩である.本疾患の認識が広まるにつれ,以下のような幾つかの解決すべき問題点が明らかになってきた.
1) どのように診断するのか?(診断基準の問題)
2) 病因は何か? 発生段階の異常によるものなのか? 後天的なものなのか?
3) 特異的な心筋疾患なのか? 他の心筋疾患とのオーバーラップは?
4) 神経筋疾患との関連は?
5) 自然歴,予後決定因子は?
6) 症状のない症例に機能異常が潜んでいるのか?(超音波検査による心筋機能評価)
今回,我々はこれらの問題点と新たな知見を中心に,小児の自験例も交え,概説する.