超音波医学
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症例報告
超音波検査が有用であった膝窩動脈外膜嚢腫の2症例
田端 強志中神 美奈稲岡 努益原 大志本村 昇徳山 宣蛭田 啓之東丸 貴信
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2015 年 42 巻 4 号 p. 541-549

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抄録

膝窩動脈外膜嚢腫は動脈の外膜に発生した嚢腫の圧排により血管内腔が分節的に狭窄や閉塞を来たし,下肢が虚血症状を呈する非動脈硬化性の末梢動脈疾患である.今回我々は,当院で経験した膝窩動脈外膜嚢腫の2症例を報告する.【症例1】56歳,男性.急激な右下肢の間欠性跛行が出現,増悪したため近医を受診した.右ABI値が1.10から0.58と3ヵ月間で急激な悪化を認めたため当院を紹介受診.超音波検査で右膝窩動脈に隣接した嚢胞性腫瘤を認め,動脈内腔を高度に狭窄していた.CT検査やMRI検査でも同様の所見であり膝窩動脈外膜嚢腫と診断した.手術を検討していたが4週間後,突然症状は消失した.超音波検査で症状悪化時に認めた嚢腫は消失し,経過観察する方針となった.【症例2】52歳,男性.右下肢の間欠性跛行で当院を受診.左右ABI値は正常値であった.超音波検査で右膝窩動脈に隣接して嚢胞性腫瘤を多数認め,動脈内腔は圧排され狭小化されているようにみえた.下肢MRI検査では右膝窩動脈周囲に縦長の構造物を認め,同部で膝窩動脈が圧排されていた.膝窩動脈外膜嚢腫と診断し,膝窩動脈切除と大伏在静脈を用いた自家静脈移植術を施行した.術後間欠性跛行は消失し,現在まで再発所見は認めていない.

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© 2015 一般社団法人 日本超音波医学会
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