超音波医学
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原著
キヤノン社製装置における乳腺腫瘤のFLR(Fat-Lesion Ratio)に関する良悪性のカットオフ値の検討
松岡 由紀河内 伸江宇内衣 里子平林 彩八木下 和代鈴木 髙祐木村 武志角田 博子
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キーワード: breast ultrasound, elastography, FLR
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2021 年 48 巻 5 号 p. 257-262

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抄録

目的:乳房超音波検査におけるエラストグラフィの有用性は増しているが,メーカによってそれぞれひずみ比(SR:FLR)のカットオフ値が異なることが分かっている.今回,当院にキヤノン社製Aplio i800が導入されたが,これまでに日本でキヤノン社製装置のStrain ImagingにおけるFLRのカットオフ値は示されていない.そのため,乳腺腫瘤を良性病変と浸潤癌とに分けてカットオフ値の検討を行った.対象と方法:対象は2018年10月1日から2019年3月31日までにAplio i800で乳房超音波検査を施行し,FLRを計測した症例である.良性病変は60症例,浸潤癌は70症例となった.後方視的にFLRの値を確認し,Youden indexを用い適正なカットオフ値を検討した.結果と考察:FLRのカットオフ値を4.38としたときが最適となった.乳腺甲状腺超音波医学会(JABTS)ガイドラインでも超音波装置の違いや,検査手技の違いによりSRのカットオフ値が異なる可能性を指摘されている.日立製作所(日立社)製装置では4.8と報告され,以前に我々はGE社製装置では3程度と報告している.使用する装置による相違を認識して検査を行うことが重要と考えられた.結語:キヤノン社製装置ではエラストグラフィにおけるFLRのカットオフ値は4.38程度となると考えられた.

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© 2021 公益社団法人 日本超音波医学会
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