2021 年 48 巻 5 号 p. 227-239
超音波の生体作用は,熱的作用と非熱的作用に分けられる.非熱的作用には,超音波の圧力が直接作用を及ぼす一次的効果と,超音波によって生じたキャビテーションが作用を及ぼす二次的効果がある.本文では,キャビテーションの二次的効果に注目し,超音波照射下における気泡のダイナミクスと,気泡が生体に作用を与える機序について解説する.また,超音波診断とX線診断が生体作用を生じる機序を比較し,キャビテーション現象に注目することの意議を明らかにする.さらにキャビテーションの作用を積極的に利用する治療法を紹介し,治療分野における超音波応用の有用性を明らかにする.