2022 年 49 巻 3 号 p. 183-191
超音波検査のルーチン検査では,施設間で多少の違いはあるものの描出すべき断面とそこで見るべき構造物が決まっている.心エコー図検査業務に慣れ一通りの異常所見を経験すると,ルーチン画像を描出することに集中するあまり,しばしば描出している断面における心血管とその周囲にある臓器との空間的な位置関係を考えずに検査を行うことがある.これでは,何気なく見えている正常所見を認識できておらず,予想外の構造物や血流等に遭遇した際,正常と異常との鑑別が困難になることを経験する.本稿では,心エコー図検査で見逃しやすい正常構造物(所見)および健常者にも見られる正常亜型と考えられる所見について概説する.