超音波医学
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総説
左室壁運動の評価について
林田 晃寛土岐 美沙子木村 晃久吉田 清
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2023 年 50 巻 2 号 p. 99-102

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抄録

左室壁運動を評価するためには,左室を正しい断面で描出しなければならない.心尖部が真の心尖部になっておらず,左室の大きさを過小評価していることは多い.エコーベッドを用いたり,呼気時だけではなく吸気時にも撮像して,なるべく左室の長軸径が大きくなるようにする.短軸は乳頭筋レベルで観察を行い,両方の乳頭筋が均等に描出されているかを確認する.均等ではないと斜め振りの可能性あり,壁運動評価が正当にできない.短軸,及び心尖部からの長軸像で局所壁運動異常と心筋の性状を評価する.陳旧性心筋梗塞では,内膜側の輝度上昇,壁厚減少も重要な所見である.冠動脈支配領域に一致しない場合は,心サルコイドーシス,たこつぼ型心筋症などを考える.その際は,心電図も参考にする.左室収縮能評価は,Method of disks (MOD) 法で行う.これは,左室を20個の楕円柱に分割して体積を求める方法である.心エコーの機械でMODと表示されるため,modifyの略と誤解している人も多いが,これは誤用である.

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