超音波医学
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症例報告
成人左房性三心房心を合併した心房細動患者に肺静脈隔離術を施行した1例
田村 淳史杉本 美夕嘉祥 敬国奥山 雄介松岡 俊三青木 昭和
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2024 年 51 巻 3 号 p. 147-151

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抄録

先天性三心房心(cor triatriatum:CT)は,先天性心疾患の0.1~0.4%を占める稀な疾患である.心房の異常隔壁により心房が二分され様々な症状を呈する.心房細動(atrial fibrillation:AF)は約30%の患者に合併するとされる.今回我々は,AFに対するカテーテルアブレーションの術前検査として施行した経食道心エコー図検査(trans-esophageal echocardiography:TEE)で,先天性左房性三心房心(CT sinister:CTS)を認めた症例を経験した.CTSには,部分肺静脈灌流異常や心房中隔欠損を合併することがある.また,異常隔壁がカテーテルの通過障害の原因となりうるため,術前精査を詳細に行った.先天性心疾患の合併は認めず,隔壁は心房中隔のやや僧帽弁側に付着し,全ての肺静脈が副腔に還流していたことから拡大肺静脈隔離術(extensive encircling pulmonary vein isolation:EEPVI)を実施可能と判断した.心房中隔穿刺時に心腔内エコーを用いて副腔側を選択的に穿刺し,EEPVIを安全に施行できた.AFを合併したCTS患者に対し,術前にTEEを中心とした様々なモダリティを用いて左房形態や合併奇形を精査し,安全な治療を計画することは重要である.

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