2026 年 53 巻 2 号 p. 57-72
目的:血管分布は,病気の診断や手術支援における重要な情報である.光音響イメージングは,血管を非侵襲かつ高分解能で画像化できる技術である.光音響イメージングにおいて,様々な方向に走行している血管を描出するには半球型アレイセンサが適している.しかし,技術的・コスト的な問題から素子密度が疎な半球型アレイセンサが用いられており,これによりアーチファクトが生じていた.そこで,本研究ではディープラーニング技術を用いて実素子の信号から仮想素子の信号を生成することで仮想的に稠密なアレイセンサを実現し,アーチファクトを低減する.
方法:3次元畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて仮想素子信号を生成することは,膨大な計算コストがかかるため現実的ではない.そこで,私たちは3方向の螺旋パターンに沿って,実素子と実素子の中間に仮想素子を配置し,2次元CNNを用いて仮想素子信号を生成し,実素子と仮想素子の信号を用いて光音響画像を再構成する.
結果:提案手法をシミュレーション実験とヒト掌の計測データを用いて評価した.その結果,実素子のみを用いた画像ではアーチファクトが顕著に見られたが,提案手法を適用した画像ではアーチファクトが大幅に低減された.
結論:提案手法を用いることでアーチファクトを大幅に低減することができ,より深部の血管認識が可能となった.また,処理時間は,臨床計測に十分適用可能な時間であった.