論文ID: JJMU.A.193
目的:乳癌取扱い規約の乳腺腫瘍の組織学的分類(規約分類)が2018年に改訂された.本研究は,規約分類の改訂が浸潤性乳管癌の超音波診断に与える影響を検討することを目的とした.対象と方法:旧分類で浸潤性乳管癌の乳頭腺管癌と診断された91例を対象に,超音波画像と手術材料の病理組織検体を見直し,新分類の各組織型における超音波画像の特徴を探った.結果と考察:対象例は新分類で微小浸潤癌26例(28.6%),乳管内成分優位の浸潤癌51例(56.0%),浸潤性乳管癌腺管形成型14例(15.4%)と診断された.超音波画像は41例(45.1%)で腫瘤,48例(52.7%)で非腫瘤性病変として認められ,2例(2.2%)は病変を指摘できなかった.新分類で微小浸潤癌と診断された症例中19例(73.1%)は非浸潤性乳管癌に類似した非腫瘤性病変の像を呈した.乳管内成分優位の浸潤癌のうち22例(43.1%)は腫瘤,27例(52.9%)は非腫瘤性病変として認められた.腺管形成型では12例(85.7%)は充実性腫瘤を呈し,うち7例(58.3%)で乳腺境界線の断裂を認め,浸潤癌の組織型推定は容易であった.多彩な超音波画像を示す旧分類の乳頭腺管癌は新分類で3つの組織型に分けられ,それらはそれぞれ特徴的な超音波画像を呈した.結論:新分類は超音波画像による組織型推定を行いやすい分類である.