超音波医学
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下肢動脈の血行動態的評価にR-P時間比計測の有用性
藤崎 純金子 南紀子佐々木 有沙来住野 雅高橋 奎太大山 貴衣宇都宮 誠中村 正人久保田 義則前谷 容
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論文ID: JJMU.A.198

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抄録

目的:下肢動脈における血管内治療(EVT)前後で,鼠径部と足関節部のドプラ波形よりR-P時間を計測し,その比を用いて下肢の血行動態的評価の指標になり得るか検討した.対象:2019年4月から2020年9月までに下肢動脈に病変を認めなかった108例を対照群とし,総大腿動脈(CFA)以遠病変に対するEVTを行い,術前後に下肢動脈エコーおよび足関節/上腕血圧比Ankle Brachial Index(ABI)を検査し得た67人78病変(膝上病変46例,膝下病変32例)を病変群とした.方法:CFA,足関節部の前脛骨動脈(ATA)・後脛骨動脈(PTA)にてR-P時間を計測し,CFAのR-P時間を基準にATA/CFA R-P時間比(R-P time ratio : RPR),PTA/CFA RPRを算出した.対照群と病変群を比較し,さらに病変群のEVT前後でRPRとABIの比較検討した.結果:RPRは病変群で有意に高値を示し,RPRの基準値を1.41とした場合に,総大腿動脈以遠に有意な病変を有さず,良好な下肢血流動態と判断できる場合の感度は96%であった.EVT前後の比較では膝上病変はABIと同様にEVT前後で有意差を認め,膝下病変ではABIで有意差を認めなかったが,RPRは有意差を認めた.結論:RPRは,下肢全体の血行動態的評価が行え,特に膝下動脈の血行動態的評価をABIよりも鋭敏に行える可能性が示唆された.

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