論文ID: JJMU.A.200
経皮的中隔心筋焼灼術における心エコー図検査は,より安全且つ確実に手技を行う方法として発展を遂げてきており,術前から術後まで様々な知見が集積されてきている.術前の心エコー図検査では,中隔縮小治療として外科的中隔心筋切除術か経皮的中隔心筋焼灼術のどちらを行う方が望ましいかの適応判断に有用であり,僧帽弁複合体異常や修復可能な併存心疾患の有無がその判断材料となる.また,術中の心エコー図検査では,標的としている冠動脈中隔枝が焼灼に適しているか,焼灼した場合の圧較差の軽減を期待可能か,焼灼の程度を判断することが可能である.冠動脈造影のみでは焼灼の程度や範囲の判断は困難であり,カテーテル術者と連携してハートチームとしての治療が必要となる.術後には,左室中部や心尖部付近での圧較差が顕在化してくる場合があり,術前に左室内の圧較差が無くても,これらの狭窄の有無を評価する必要がある.これまで,経皮的中隔心筋焼灼術は限られた施設で行われており,長期予後などの検討は少なかったが,最近これらの報告が増えてきており,心エコー図検査の有用性を十分に理解した上で経皮的中隔心筋焼灼術を行えば,患者の症状や圧較差改善に繋がるだけでなく,より個々の患者に応じた治療を行える可能性がある.