超音波医学
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超音波断層法と肉眼的評価および病理学的評価による胸膜浸潤所見の不一致に関する検討
岡本 翔一濃沼 淑芳葛 航晨相馬 聡一郎十合 晋作家永 浩樹髙橋 和久
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ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: JJMU.A.230

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抄録

目的:超音波断層法は原発性肺癌における胸膜浸潤の検出に有効であるが,超音波診断所見と肉眼的胸膜浸潤所見(PL)および組織学的胸膜浸潤所見(pl)の不一致の要因については十分な検討はされていない.本研究の目的はこれらの所見を比較検討し,不一致に影響を及ぼした因子を明らかにすることである.対象と方法:対象は2014年から2017年までに超音波ガイド下穿刺術後に手術が行われた原発性肺癌の患者35例.穿刺術前に胸部超音波による胸膜浸潤の程度を評価して超音波断層法による肺癌胸膜浸潤所見(uP)を決定し,PLおよびplと比較検討した.所見一致群,過大評価群,過小評価群に分けて各種要因を検討した.結果と考察:uPとPL,uPとpl,PLとplの一致率はそれぞれ34.3%,28.6%,54.3%だった.PLに対するuPの過大評価群では所見一致群と比較して間質性変化が多く(P=0.006),気腫性変化は少なかった(P=0.023).間質性変化を有する過大評価群では胸部CTにおける腫瘍周辺の胸膜不整が多く認められる傾向にあった(P=0.066).plに対するuPの過小評価群では肺尖部の腫瘍が多く(P=0.022),uP2の過大評価群では横隔膜面の腫瘍が多く認められた(P=0.024).結語:間質性変化や肺尖部,横隔膜面の腫瘍の存在は超音波断層法による胸膜浸潤の評価に影響しうることが明らかになった.

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