超音波医学
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多発性脾過誤腫の1例
柴田 有紀子竹元 伸之山田 順一白石 克子小池 淳子山本 宏
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ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: JJMU.A.25

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抄録

症例は35歳,男性.他院にて脾過誤腫疑いと診断され2005年より当院にて経過観察されていた.2010年1月,腹部膨満感と腹部圧迫感を主訴に受診.触診上腫瘤は触知せず圧痛も認めなかったが,超音波検査では脾臓に境界不明瞭で内部は低~等エコーの不均一な大小多数の腫瘤を認め,経年により腫瘤の数は増加傾向にあった.造影CT検査では,脾臓に早期相で内部が不均一な増強効果を示す多発性腫瘤を認めた.単純MRI検査のT1強調像では腫瘤は指摘できなかったが,T2強調像では低信号の腫瘤様像が存在するようにも観察された.フェルカルボトランを用いたSPIO (super paramagnetic iron oxide) MRI検査では腫瘤に取り込みが認められ,多発性脾過誤腫に合致した.有症状であったこと,腫瘤が増加傾向であったこと,患者の強い切除の希望があったことより手術の方針とし,2010年3月,開腹下脾臓摘出術を施行した.病理組織学的検査では術前検査同様,多発性赤脾髄型の過誤腫と診断された.多発性脾過誤腫は非常にまれであり,文献的考察を含めて報告する.

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© 2014 一般社団法人 日本超音波医学会
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