超音波医学
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妊娠28週に卵管角の胎盤付着部位から子宮破裂を起こした1症例
大場 智洋長谷川 潤一新垣 達也仲村 将光松岡 隆市塚 清健関沢 明彦
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ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: JJMU.A.30

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抄録
妊娠28週に卵管角部の子宮破裂を生じた1例を報告する.30歳,0回経妊,子宮手術の既往はない.妊娠26週2日,頻回な子宮収縮と性器出血を認め当科紹介になった.左側腹部に軟な腫瘤を触知した.経腹超音波検査で,腫瘤は,子宮卵管角から突出しており,中には胎盤が折りたたまれたように存在した.胎盤と子宮筋層にecho free spaceはなかった.左卵管角部の切迫子宮破裂を疑った.妊娠27週3日,超音波検査で胎盤辺縁に39×24 mm大,網状のlow echo areaを認め,胎盤辺縁血腫と診断した.妊娠28週1日,子宮収縮が頻回となり,腫瘤に圧痛を認め,超音波検査では胎盤辺縁のlow echo areaは2ヵ所あり68×19 mmと93×36 mm大と拡大していた.胎児心拍数陣痛図では,prolonged decelerationを認めた.子宮破裂,胎盤早期剥離を疑い,緊急帝王切開術を施行した.術中出血量1,065 g,出生児体重1,173 g,Apgar score(1/5分値)8/9点,臍帯動脈血pH 7.231であった.子宮左卵管角は6×7 cmに膨隆しており,子宮筋層は菲薄,断裂していた.卵管角の胎盤付着による子宮破裂と診断した.卵管角部を楔状に切除し,子宮筋層を3層縫合した.既往歴や妊娠の経過から子宮破裂の危険性が低い症例であっても,胎盤位置の異常によっては,子宮破裂に至ることもあり,その危険性を念頭に置くことが重要である.
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© 2015 一般社団法人 日本超音波医学会
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