超音波医学
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母体CMV-IgMが陰性であった先天性サイトメガロウイルス感染症の1例
川上 穣日高 庸博原 枝美子佐藤 由佳近藤 有希子村田 将春藤田 恭之加藤 聖子
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ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: JJMU.A.59

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抄録
妊娠中のサイトメガロウイルス(CMV)感染は児に不良な予後をもたらしうる重大な感染症であり,診断には母体の血清CMV-IgMが用いられることが多い.症例は29歳の初産婦.妊娠24週の超音波検査で胎児の発育不全,腹水,腸管高輝度像を認めた.胎児中大脳動脈最高血流速度が2.5 MoMと高値であり臍帯穿刺を行ったが,臍帯血の血色素量は9.2 g/dlと貧血は軽度で,一方で血小板数が2.8万/μlと著明低値であった.母体血清よりTORCHスクリーニングを行ったが,CMV-IgMをはじめ全て陰性であった.しかし諸所見からCMV感染を強く疑い,羊水でのCMV-PCR検査を行ったところ,陽性であり先天感染の診断に至った.妊娠26週に胎児機能不全と診断したが急速墜娩を選択されず,子宮内胎児死亡となった.死産後の胎盤病理検査で巨細胞封入体を認め,免疫染色で抗CMV抗体が陽性であった.先天性CMV感染は母体のCMV-IgMが陰性であることをもって必ずしも否定されず,諸所見で感染を強く疑えば羊水PCR検査を考慮すべきである.
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© 2016 一般社団法人 日本超音波医学会
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