超音波医学
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僧帽弁形成術の適応を決定するための心エコー図評価
阿部 幸雄
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ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: JJMU.R.113

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抄録

僧帽弁閉鎖不全症(僧帽弁逆流,mitral regurgitation,MR)に対して僧帽弁形成術が可能かどうかを心エコー図検査で判断することがMRの手術適応を考えるうえで必須である.また,形成術の施行を決定した際にも,術式を術前に計画する必要がある.一次性(器質的)MRの代表である僧帽弁逸脱症によるMRでは,心エコー図検査で診断した主病変の部位と範囲,成因と形態にしたがって形成術が可能かどうかを判断し,副病変の有無と程度を併せ考えたうえで弁尖切除法あるいは人工腱索再建法,弁尖間縫縮術のいずれを人工弁輪による弁輪縫縮術と組み合わせるかを計画する.また,僧帽弁収縮期前方運動による左室流出路狭窄が出現する可能性が高いと予測される際には,その合併を回避する術式が加えられる.一方,左室不全に伴う二次性(機能的)MR例では判断が全く異なる.Tethering-tentingが高度で弁輪縫縮術のみでMRを制御できないと予測される場合には,さらなるオプションの術式を加えるか,形成術を諦めて人工弁置換術を行うことになる.Atrial functional MRに対する外科治療の基本術式は人工弁輪による弁輪縫縮術である.いずれのMRにおいても,僧帽弁および僧帽弁機構の形態診断が重要であり,ソノグラファーおよび循環器内科医,心臓血管外科医で共有すべきである.

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