超音波医学
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肝細胞癌に対する従来型および新世代のシステムを用いたマイクロ波凝固療法に関する総説
今城 健人小川 祐二米田 正人斉藤 聡中島 淳
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ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: JJMU.R.182

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抄録

マイクロ波焼灼療療法(MWA)は熱効率が高いが,従来型のMWAシステムには焼灼領域の大きさと形状の予測ができないという大きな制約がある.したがって,ThermosphereTMテクノロジーを用いる新世代のMWAシステム,EmprintTMアブレーションシステムは,様々な組織環境による影響を受けない,予測可能でかつ大きな球状焼灼領域を形成することを目的に設計された.MWAシステムを使用した焼灼に必要な時間は短く,壊死の形状は旧型システムでは楕円形,新型システムでは球状である.さらに,MWAにはヒートシンク効果が少ないため,主要血管に近接する腫瘍の焼灼に使用することができる.こうした要素により焼灼体積が大きくなり,局所制御が良好になるものの,肝組織の過剰な焼灼や周辺器官の予期しない焼灼が起きる可能性がある.したがって,MWAは注意深く実施する必要がある.本総説では,従来型システムと新世代のシステムを使用して,肝細胞癌(HCC)患者に実施したMWAの有効性と,合併症に焦点を当てる.新世代のシステムを使用したMWAは,腫瘍径が大きいHCCや転移性肝癌などの二次性肝腫瘍に対する続発性肝悪性腫瘍に有望な治療選択肢となり得る.従来型のMWAを含め,他の利用可能な焼灼法と比較していくつかの長所が存在する.しかし,この新しいシステムの長所短所を十分に明らかにするには,さらなる無作為化比較試験が必要である.

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