超音波医学
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超音波フュージョン画像の肝癌治療支援
南 康範工藤 正俊
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ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: JJMU.R.183

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抄録

画像技術の進歩によって,超音波(US)やコンピューター断層撮影(CT)あるいは磁気共鳴映像法(MRI)から得られた三次元画像データは,超音波プローブの動きと同期してリアルタイムに表示することが可能である.CT/MR-US fusion imagingはUSで描出困難な肝細胞癌(HCC)の視認性を改善し,また病変と肝内脈管との三次元的な位置関係の理解を支援する.穿刺局所療法の「ターゲティング」としてのフュージョン画像の利用によって,描出困難なHCCに対する高い治療成功率(94.4~100%)と低い局所再発率(0~8.3%)が得られたと報告されている.また,フュージョン画像では焼灼治療前後のUS画像同士の比較や重ね合わせ機能も活用することができ,穿刺局所療法の「モニタリング」としての新たな役割が期待される.US-US fusion imagingでは左右対比によって治療部位のUS評価を可能にし,US-US overlay fusionでは焼灼高エコー域への腫瘍像の投影によって焼灼マージンの視覚化が可能となった.US-US overlay fusionを穿刺局所療法に活用することで安定的に安全マージンの確保が行える点で非常に有用であり,その結果局所再発のリスク低減にも貢献できる.本稿では肝癌の穿刺局所療法におけるUSフュージョン画像の治療支援の現状を総括する.

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