超音波医学
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嘔吐と腹部膨満をきたす新生児の腹部超音波検査
藤井 喜充神田 枝理子金子 一成
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ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: JJMU.R.68

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抄録
新生児期に嘔吐と腹部膨満をきたす代表的な疾患の超音波像を解説する.1)肥厚性幽門狭窄症は,筋層部の厚さが4 mm以上で長さが15 mm以上の幽門輪が描出され,かつ胃内容物の通過を認めない場合に診断が確定する.胃拡張とともに幽門輪が右後方に移動するので,探触子の位置も移動が必要である.2)腸回転異常は中腸軸捻転をおこしていれば,whirlpool signがみられるので診断は容易である.Whirlpool signが陰性の場合は十二指腸水平脚の有無で診断するが,内容物の通過方向に矛盾のないことを確認する必要がある.3)十二指腸閉鎖では拡張した十二指腸下行脚を,胆嚢の左側で確認する.小腸閉鎖は閉鎖部位より口側の腸管が嚢胞状に拡張している像と,肛門側の虚脱した腸管が隣接している像がみられる.4)壊死性腸炎は腸管壁の浮腫状肥厚の中に,腸管壁内ガスの点状から顆粒状の高エコー像が確認される.求肝性の門脈内ガスの気泡はBモードで直接確認が可能で,腹側の肝実質に高エコー域としてトラップ像が出現する.これらの壁内点状高エコーと門脈内ガスは,X線では捉えられない疑診段階から,超音波検査であれば確認できる.
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© 2016 一般社団法人 日本超音波医学会
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