超音波医学
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甲状腺腫瘤と超音波診断-頸動脈エコー,CT,MR,PETなどによる偶発甲状腺腫瘤の取扱いについて-
小林 薫
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ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: JJMU.R.78

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抄録
甲状腺の偶発腫瘤(腫瘍)の発見が増加しつつある.有病率がかなり高いものであり,超音波,CT,MR,PET検査,胸部レントゲン撮影,頸動脈エコーの施行時に甲状腺の腫瘍が偶発的にみつかっている.甲状腺腫瘤に対して良性悪性の鑑別が最重要であり,超音波診断基準を適用して超音波の診断を行う.次に細胞診施行の適応を考慮する.超音波診断において,良性でかつ小さい結節は細胞診を省略して,そのまま経過観察にする.それ以外は細胞診を施行する.その上で手術か経過観察かを決定する.超音波検査では悪性腫瘍,とくに乳頭癌を見逃さないことが重要である.乳頭癌の大部分は典型的画像を示すので診断は容易である.乳頭癌と診断されるときは頸部リンパ節転移の検出が必要である.微小乳頭癌がみつかる機会が増えている.それを高リスクと低リスクに分類し,低リスクの微小乳頭癌は手術を行わず経過観察を推奨しており,その結果は十分に満足できるものである.良性腫瘍の大部分は手術を行わず経過観察にする.一部に手術適応がありうる.一般病院の対応としてはどの時点で専門の施設に紹介するべきかを決定する必要がある.
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© 2016 一般社団法人 日本超音波医学会
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