日本線虫学会誌
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本報 (英文)
マツノザイセンチュウBursaphelenchus xylophilus により枯死したマツ樹における線虫相の季節変化
スリワティ リナ竹本 周平二井 一禎
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2006 年 36 巻 2 号 p. 87-100

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抄録

マツ材線虫病により枯死した15年生クロマツにおけるマツノザイセンチュウ (PWN) および自由生活性線虫類の個体群の経時変化を調査した。研究期間中に、計15線虫種を検出した。それらの内訳は、PWNを含むBursaphelenchus 属線虫3種、Rhabditida目線虫2種、Plectidae科線虫1種、Diplogasterida目線虫4種、Tylenchida目線虫2種、Mononchida目線虫1、Monhisterida目線虫2種である。このうちPWNおよびDiplogasterida目線虫の1種が優占していた。PWNの個体数は2004年8月から12月にかけて減少したが、2005年2月には回復傾向を示し、以降2005年6月にかけて再び減少した。優占種であったDiplogasterida目線虫の個体数とPWNの個体数との間の相関は季節間あるいはマツ樹個体間で著しく異なっていたものの、両者の個体群の変動は実験期間を通じ同調していた。また、媒介昆虫であるマツノマダラカミキリの蛹室周辺では、そのほかの部分に比べ、PWNのみならずこのDiplogasterida目線虫の個体数もより多くなっていた。

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© 2006 日本線虫学会
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