日本線虫学会誌
Online ISSN : 1882-3408
Print ISSN : 0919-6765
ISSN-L : 0919-6765
本報
北海道におけるゴボウのキタネグサレセンチュウによる被害と耕起法の関係について
山田 英一河合 勝
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 38 巻 1 号 p. 19-33

詳細
抄録
ゴボウのキタネグサレセンチュウの被害と耕起法(ロータリ耕とトレンチャ耕)との関連を検討した。輪作作物であるゴボウの前作物が増殖作物となる例が多いが、過去に行なわれたロータリ耕では、この密度の高い表層部に播種されるため、ゴボウの表皮は黒点が融合した黒褐色斑となり、また、黒変部からの主根の寸断など被害程度はトレンチャ耕よりも重い例が多かった。一方、トレンチャ耕では表層部の線虫が深部まで撹拌されるため、播種部位(0~20 cm)の密度は低下し、症状は軽くなり、その症状も斑点型となる例が多かった。トレンチャ耕におけるキタネグサレセンチュウ密度とゴボウの被害程度を検討し、商品化率(生食用として商品化できる個体率)を根腐れ程度および奇形程度がともに2以下の個体率とし、この商品化率80%が得られる線虫密度を被害許容水準とした。この値はトレンチャ処理前の表層(地表から深さ20 cmまで)密度(土壌25 g、48時間分離)は6.1頭、トレンチャ耕起後の密度は3.2頭と算出された。
著者関連情報
© 2008 日本線虫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top