抄録
リアルタイムPCRを用いたダイズシストセンチュウ(以下、SCN)の定量を目的として、特異的プライマー(SCN44f、SCN124r)を設計した。SCNに汚染された黒ボク土を100 mlの円筒コアに充填し、土壌締固め機を用いて様々な強度(乾燥密度0.93-1.4 g cm-3)で締固めてからDNAを抽出し、リアルタイムPCRを行った。無処理土壌(0.66g cm-3)からの結果と比較して、最大に締固めた1.4 g cm-3の土壌ではCt値が4回小さくなった。そのため、締固め処理によりSCNのシストと卵が土壌中で破壊され、16倍多くSCNのDNAが検出されるようになったと推察された。SCN非汚染の黒ボク土20gにSCNを10~3,000卵投入し、1.4 g cm-3の強度で締固めたところ、Ct値と投入したSCNの卵数との間には有意な相関関係が認められた(r2 = 0.8615、P < 0.001)。以上、締固め法とリアルタイムPCRを組み合わせることで、土壌中のSCN数を迅速・簡便に定量できることが示された。