抄録
土壌締固めを介したリアルタイムPCR法を用いて、土壌中で線状の形態で存在するキタネグサレセンチュウ(以下RLN)の検出を検討した。RLNに汚染された黒ボク土および灰色低地土を50 mlの採土円筒に充てんし、土壌締固め機で土壌を締固めてからDNAを抽出した。土壌を締固めるとCt値が対照区(締固めなし)よりも1.0˜2.5回小さくなったため、土壌締固めにより、RLNのDNAを効率的に検出できるようになることが示唆された。RLNを含まない黒ボク土と灰色低地土にRLNを既知数添加し、土壌締固めとリアルタイムPCRを行ったところ、Ct値とRLN頭数に有意な相関関係が認められた(黒ボク土:r² = 0.993、P < 0.01 灰色低地土:r² = 0.965、P < 0.01)。そのため、土壌締固め法を介したリアルタイムPCRによるRLNの定量検出が可能と判断された。検出限界は風乾土20 gあたり黒ボク土で25頭、灰色低地土で10頭であった。検出限界の向上のために、DNA抽出法の改良が必要であると推察された。