2016 年 46 巻 2 号 p. 83-86
2015 年2 月に石川県金沢市末町の育苗ビニルハウスに発生した萎縮症状を示すスイゼンジナの幼株の根から夥しい量のネグサレセンチュウが分離された。後日、この苗を植えた金沢市樫見町の本圃でも同じネグサレセンチュウの発生が確認された。形態形質に基づく同定により、本種はキタネグサレセンチュウやニセミナミネグサレセンチュウから区別される未知のネグサレセンチュウであると判明した。本種は唇部体環が2 または3 に見え、食道腺の腸との重複が比較的長く(43–68 μm)、後部子宮枝が相対的に長く痕跡的卵巣をとどめていた。リボソームRNA のSSU、ITS1,ITS2、D2-D3 LSU の全配列の決定を試みたが、PCR による直接配列決定では明確な分子配列を得られなかった。