2021 年 51 巻 1 号 p. 5-9
本研究では,レンコン寄生性線虫Hirschmanniella diversaとH. imamuriおよびその他近縁種の18S rRNA遺伝子と5.8S rRNA 遺伝子/internal transcribed spacer (ITS)領域の完全に近い長さの配列を基にした系統解析を行った。その結果,5.8S rRNA遺伝子/ITS領域に基づく系統解析によりHirschmanniella spp. は3つのClade に分岐し,H. diversaとH. imamuriは既知の3種 (H. santarosae, H. pomponiensis, H. gracilis) とともにClade I に分類された。また,Hirschmanniella spp. は全てのCladeに属する種がイネ科に寄生できることが示唆された。H. imamuriとH. oryzaeはともにイネの根に寄生可能な植物寄生性線虫であるが,それぞれClade IとClade IIIに分類されており,異なる進化を辿っていることが分かった。