イモグサレセンチュウは日本でニンニク生産に甚大な被害をおよぼす。欧州ではジャガイモの病原体だが、日本国内では被害に関する報告はない。本研究では、ニンニク由来のイモグサレセンチュウはジャガイモに感染・増殖し、被害を及ぼすのかを調査した。さいの目に切ったジャガイモ(“男爵”と“メークイン”)の塊茎に無菌的に接種した線虫は増殖し、フザリウム菌の存在下では増殖が促進された。線虫をジャガイモ表面に接種した場合は、両品種とも線虫の増殖は認められなかった。ポット実験では、土壌中の線虫密度は高まったがジャガイモへの感染や被害は認められなかった。以上より、ニンニク由来のイモグサレセンチュウは本邦のジャガイモ主要2 品種で増殖するものの、被害を及ぼさない可能性が示唆された。