2011 年 3 巻 1 号 p. 58-63
看護系大学1年生がどのような拠り所をもとに倫理的判断を行うのか、その傾向を明らかにすることを目的に、患者の希望を叶えるか叶えないかという二つの相反する倫理的判断を含む事例における倫理的判断の理由とそうした場合の結果の予想についての学生の記述を分析した。その結果、1年生の判断の拠り所として、看護実践にとって重要な善行と無害の原則が含まれていることが明らかとなった。また、規則を守ることに価値を置く学生の傾向も明らかになった。看護倫理教育においては、学生が本来備えている価値観を大切にしながら、専門的な価値観や判断の拠り所を身につけられるような取り組みが必要であるといえる。