日本看護倫理学会誌
Online ISSN : 2434-7361
早期公開論文
早期公開論文の3件中1~3を表示しています
  • 原口 梨那
    論文ID: 20250304
    発行日: 2025/06/24
    [早期公開] 公開日: 2025/06/24
    ジャーナル フリー 早期公開

    NICUで重篤な疾患を持つ児の治療の差し控えや中止に関する治療方針決定の過程で新生児集中ケア認定看護師が経験した困難感について明らかにするために、14名を対象に半構造化面接を行った。質的記述的に分析した結果、65のコード、11のサブカテゴリ、5カテゴリが生成された。その結果【治療方針に対する意見の相違がある】、【親と医療者で治療方針に関する話し合いができていない】、【施設の方針や児の状態が改善せず治療方針が決定される】ことが明らかになった。さらに、親とのかかわりの中で【治療方針の決定に関する親の葛藤がある】、【治療方針の決定に関する看護師の葛藤がある】ことから関係性の難しさの特徴があった。医療者は親の複雑な悲観や葛藤を理解し支援する必要があり、親と医療者間での語り合える関係性の構築や組織の醸成が重要である。

  • 廣瀬 理絵
    論文ID: 20250116
    発行日: 2025/05/23
    [早期公開] 公開日: 2025/05/23
    ジャーナル フリー 早期公開

    本報告では、臨地実習で患者からのきつい言葉やつねるという行為による暴力を受けた看護学生への対応、指導に当たり、看護教員が自らの語り、ナラティブを通して、当時直面した葛藤と困難を振り返り、以下3点の疑問に対して考察した。①患者から受けた行為を告白した学生は、その事実の秘匿を教員に要望した。学生の意向を尊重し、「出来事に悩み葛藤、模索し、患者へ対応していく」という学びのプロセスのために秘密を守るべきか。②学生をつねった患者のケアおよび対応は、患者のニーズに応答していたか。③実習指導教員が学生との秘密を守ることは、臨床指導者と実習指導教員の協働の視点において適切であるのか。今回の事例報告を通して、看護学実習で学生が対象者と関わる際に生じる葛藤や困難感に対処できるよう、実習指導教員としてどのようなことができるかを考えるきっかけを提供することを意図している。

  • 中村 充浩, 高橋 梢子, 前田 樹海
    論文ID: 20250110
    発行日: 2025/04/25
    [早期公開] 公開日: 2025/04/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究の目的は、看護師が経験する道徳的苦悩の特徴と影響する要因を明らかにすることである。全国の特定機能病院の看護師を対象に、性別、経験年数、職位、専門/認定看護師資格の有無、現所属での夜勤の有無、所属と道徳的苦悩の関連を調査した。道徳的苦悩はMMD-HP日本語版尺度で測定した。882名の回答を分析し、道徳的苦悩尺度得点は平均点73.0(最小値0–最大値363)、中央値58.0、標準偏差57.8であった。看護師の道徳的苦悩に影響する要因は職位、専門/認定看護師資格の有無であった。また、道徳的苦悩尺度の平均値が高かった所属は、救急救命室、地域連携部門、緩和ケア病棟、精神科病棟、管理/教育部門の順であった。これらの結果から、看護師が直面する道徳的苦悩に対しては、共通の道徳的苦悩に対する組織的支援と、個別の属性に応じた対策が必要であることが示唆された。

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