2018 年 16 巻 2 号 p. 64-69
医療職は産業保健の視点からみると多くの身体的リスク、心理社会的リスクの高い職業であり、健康被害を引き起こさないためには個人の努力のみならず、労働安全衛生法に基づいた組織的な管理体制が求められる。医療職に特有の心理社会的なリスクとして、夜勤・交代による体内リズムの乱れや睡眠障害、長時間労働、職業ストレスがあげられる。本稿では、日本におけるワーク・ライフ・バランス(WLB)の歴史や政策を概観し、特に看護職を中心にWLB支援の取り組みを紹介する。またストレス研究の視点からWLBを測る指標としてワーク・ファミリー・コンフリクト(WFC)の概念とその指標を用いた知見について解説する。これらが今後の医療機関におけるWLB推進策の方向性を議論する一助となることを期待する。