抄録
【目的】初産婦へ会陰マッサージ教育プログラムを行うことによって、会陰マッサージの実施率は変化するか、また実施に影響を与える要因を明らかにする。【方法】本研究は、ヒストリカル・コントロール研究である。介入群では妊娠35週以降の初産婦53名が会陰マッサージ教育プログラムの実践に取り組み、対照群ではすでに出産を終えた褥婦59名が質問票に回答した。【結果】会陰マッサージ実施率は介入群は83.0%、対照群は64.4%で介入群が有意に高かった(p=0.026)。会陰裂傷の発生率は、介入群で36.4%、対照群で42.9%であった。38.2%が受講当日からマッサージを開始し、9 割が1週間以内に開始していた。実施のきっかけは、会陰裂傷予防、オイルの配布、模型を用いた説明を受けたことによるものが半数以上であり、未実施理由は、両群ともに会陰部を触ることへの抵抗が最も多かった。【結論】教育プログラムにより妊婦による会陰マッサージ実施率向上を認め、マッサージのための物品の準備、適切な視覚的補助教材が有効であった。また、実践の動機づけの重要性とともに、妊婦が出産まで会陰マッサージを継続できるようなフォローアップの必要性が示唆された。