抄録
本研究では、手術室看護師が臨床現場で経験している倫理的問題の特徴を明らかにすることを目的とした。研究方法は、手術室看護師95名を対象に無記名自記式質問紙調査を行い、自由記述を質的帰納的に分析した。その結果、手術室看護師が経験する倫理的問題の特徴は、【手術を受ける患者に対する不適切な行動】、【手術看護を実践する難しさ】、【医師や先輩看護師の看護師に対する不適切な対応】、【患者や家族との関わりに対する困難感】、【手術室看護師の労働環境】の5カテゴリーに整理された。手術室看護師は「患者の権利擁護者」として、継続した看護倫理の知識や技術の習得に努めるとともに、自身が経験した倫理的問題を表出していくことが求められる。看護管理者においては、倫理的問題を個人の問題として捉えるのではなく、手術室全体の問題として医師を含めた多職種との話し合いの場を設ける機会を調整し、検討を重ねていくことが重要である。